見よう見まねで技を体得 全日本アマチュア・スケートボード選手権第3位

古賀 魁気くん

 上総更級公園のスケートコート、『オリプリランド』。青空の下、様々な角度に作られた斜面や山の上で、120センチ、20キロの小さな体が軽やかに宙を舞う。10月25日、都内にある『ムラサキパーク東京』で行われた『全日本アマチュア・スケートボード選手権』キッズの部(小3以下)で第3位になった小学2年生の古賀魁気くん(五所小)だ。
 戦いの場は室内のスケートコート。階段状になった「ステア」、四角い棒状で手すりのような形をした「レール」、先の尖った火山型の「スパイン」、土手の形をした「バンク」など様々な斜面と凹凸を備えた「セクション」が配置されており、どこをどのように滑るかはスケーター次第だ。与えられた1分間で、ジャンプをしてデッキを回すなどの技を見せながら自分で決めたコースを滑る。姿勢が安定しているか、着地失敗などのミスをせずに、いかに難易度の高い技を決められるかで得点が決まる。
 魁気くんが得意とする技は「バックサイド180(ワンエイティ)」。右足を前に置く「グーフィースタンス」で乗ってジャンプし、体とデッキを180度回転させるというもの。スケートボードを始めてわずか2、3カ月で習得した。他に取り入れている技は、ジャンプしている一瞬の間にデッキを水平に回す「ビッグスピン」やデッキを蹴り抜き、背中方向に縦回転させる「キックフリップ」。フリップは着地が難しいだけに決めると高得点につながる。「失敗して板だけ飛んでいってしまうこともよくある。まだ100%成功する感じではないですね」と母親の真澄さん。だからこそ懸命に練習しているのだが「スケートボードが嫌になるのはバンクでフリップを失敗し、こけたとき」と魁気くんも苦笑い。だが、今回の大会では、そのフリップが見事に決まりミスもわずか1回だけ。172点という高得点を出して堂々の3位を獲得した。95点で最下位だった昨年と比べると飛躍的な成長を見せたといえる。「3位なんて予想もしていなかったので、びっくりしました」と真澄さん。「賞を獲ったのは初めてのこと。すごくうれしかった」と、まだあどけない笑顔を見せる魁気くんだが、スケートボードの練習や研究に関しては冷静沈着、全て自分自身の意志で行っている。特に指導者がいるわけではない。大会当日、どのコースを通り、どのセクションでどんな技を使えば格好良く見えるか、その組み合わせと見せ方を決めるのは魁気くん自身。さらに今回的中したのは「失敗する可能性のある大技を狙うのではなく、できることを正確にこなしていこう」という冷静な判断による作戦。同公園のほか、土日は都内や市川市、四街道市にまで練習のために足をのばすのだが、行く先々で、出会うプロの中・高生スケーターの足元をじっくり観察する。どのようにデッキを蹴ればどう回るかなどを自分の目で確かめ、試行し、感覚を体で覚えていく。練習場所をあちこち変えるのも魁気くんの希望。様々な場所の様々なコースで滑ることにより、上達度が増すことを自ら実感しているという。「私があまり熱心ではないからか、全て自分で判断し、実行しています」と真澄さんは笑う。 
 本格的にスケートボードを始めたのは小1の6月。現在中学生の兄が趣味でやっているのを見て興味を持ったことがきっかけ。空手を習ったこともあるが小学生になると体格の差が出始め、体の小さい魁気くんは勝つことが難しくなってきた。「休みたい」と言うこともしばしばだったそう。
 平日の放課後は更級公園でほぼ毎日、夏は21時頃まで、冬は19時頃まで、ひじに擦り傷をつくりながら自らの意志で独自の練習に励む。あまり好きではない学校の宿題もさっさと終わらせ、コートに向かうのが日課。大会前は友達と遊ぶのも控え、ひたすらスケートボードに集中する。 
 各地のコートで同じ趣味を持つ仲間と出会う。「友達と一緒に滑っている時が一番楽しい」と話す。目標はもちろん「大会で1位になること。ノーミスで、もっとスピード感のある演技ができるように頑張りたい」あどけなさの奥に強い意志が感じられる魁気くん。自ら学び体得してゆく技術は、確実に彼の実力と結びついている。将来が楽しみだ。

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