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季節のスケッチ
- 2016/3/18
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俳画と文 松下佳紀
菜の花の咲く野辺を散歩していたら、夕日がちょうど山陰に沈み、空は赤々と染まっていた。夕映えの雲は様々な色や形、輝きを見せて美しい。私はしばし見蕩れていたが、ふと後ろを振り向くと大きな満月がふわりと浮いていた▼ああこれは蕪村の句《菜の花や月は東に日は西に》の情景そのままだ。この大景を一目瞭然にした蕪村は凄いなあと改めて感心すると共に、私も菜の花を入れた大きな句を作りたくなった。しばらく歩きながら考えた。が、そう簡単に句が出来るものではない▼それから何日か後、私は日本の最高峰、富士山の力を借りることを思い付き、掲句を仕上げた次第である。蕪村先生がどう評価されるか心配であるが……。