思い出は銀写真プリントで

 「残しておきたい大切な写真は銀写真プリントの現像処理施設のあるお店で印刷してほしい」と話すのは富士フイルムアルバム大使で、八幡宿で写真館を営む北嶋景子さん。8月29日、市津公民館主催事業『アルバムカフェ』が開かれ、小学生15名と保護者12名が参加した。使うのはリボンでつなぐガーランド用のカードかアルバム型の台紙。子どもたちはどちらかを選んで着席し、講師の北嶋さんから手作りアルバムについて説明を受けた。
 銀写真プリントは長期間保存してもきれいなまま残る。紙に銀などの化合物を含んだゼラチンが塗布されていて、光によって中の色素が浮かび上がる仕組み。重ねると高温や湿気、荷重によってゼラチン同士がつく欠点はあるが、「万が一津波などで海水に浸かっても、復元する可能性が高い」と北嶋さんは勧める。「デジカメやスマホで撮った写真をデータとして保存する人も多いが、電子記憶媒体は劣化するか消えてしまう可能性があります。また、インクジェット方式の家庭用プリンターで印刷したものは水に弱い」とのこと。
 用意されたのはペンギンやチョウの形の厚みのあるシール、花や星の形のパンチペーパー、柄付きのマスキングテープなど。それぞれ持参した写真やシールを選んだり、切ったりして思い思いに台紙に貼っていく。父親と参加した2年生の女の子は旅行での釣りや動物と一緒に撮った写真、3年生の男の子は田植え体験や運動会の写真を持ってきていた。ジャニーズのコンサートに行った写真を使った女の子の母親は「わあ、かわいい」と一緒にカラフルなテープやシールの配置を考えていた。
 「話すことで思い出がさらに深まります」ということで、完成後に一人ひとり発表するコーナーもあった。頑張ったところや楽しかったことについて人前で緊張気味に話す子どもたちも、北嶋さんが「ここがいいね」、「おもしろいね」とほめると笑顔。2年生の女の子は「祖父母と旅行に行った写真」のリボンにも貝の飾りをつけて工夫した。4年生の女の子は「焼きそば作りに挑戦した」と、作る過程を3枚のカードに貼り、ストーリー性を持たせた。ほかにも写真の人物が口を開けたワニのシールに食べられそうなシーンを作ったり、大小のハートを何枚も貼ったりと子どもたちのアイデアはさまざま。なかにはポップアップカードのように飛び出す飾りをつけた女の子もいた。
 「2次元の写真に厚みのあるシールや開閉できるカードを使うと3次元のおもしろさが出せると知りました。子どものボタンやリボンも使ってみたい」と保護者たちも家のアルバムづくりの参考にと楽しそうに作品を見ていた。アルバム型の作品は飾ったあと、いくつも作ってファイルに綴じれば一冊のアルバムになるそうだ。

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