雉が座るムシロ キジムシロ

 春の花を探して里山の散策を再開。コブシやヤマザクラが咲くには少し早かったが、薄紫のタチツボスミレらしき花が咲いていた。市原で見られるスミレは10数種類と多く、区別できるほどにはまだ精通していない。そんな中、陽だまりで黄色い花を見つけた。
 周りの草がまだ芽生え始めたばかりなのでよく目立つ。遠目でタンポポと思い込んでいたが、違っていた。バラ科キジムシロ属のキジムシロ(雉蓆)。多年草で高さは5~30センチ。5弁の黄花は大きさ15~20ミリ。茎は茶褐色、全体に粗い毛がある。
 花がよく似たキジムシロ属の見分け方として、キジムシロは5~9個の奇数羽状複葉、茎はほとんど枝分かれしない、ランナーという走出枝がない。オキジムシロは3~5個の奇数羽状複葉、茎は直立、斜上、枝分れする。ミツバツチグリは3小葉、走出枝がある。ヘビイチゴ属もまた黄花の5弁でよく似ている。
 花だけで区別するなら、キジムシロ属は萼片の外側にある副萼片が特徴。花のあとなら、ヘビイチゴ属は花床が丸く膨らんでイチゴ状の果床になる。放射状に丸く広がる株が野鳥のキジが座るムシロに見立てて名付けられたというくらいだから形からも区別しやすい。
 周りの草が伸びだすと陰に隠れて見分けられなくなる。5月ごろまで咲いているから草を掻き分けたときに見られるかもしれない。
 市原のいたる所で見られるキジムシロとキジ。その連想から自然への愛着が湧きあがるのも、自然が豊かな証。いつまでも大切に残していきたい。
(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…
  2. 【写真】本祭の武者行列で本田忠勝に扮する渡辺正行さん  第50回大多喜お城まつりが10/12(土)・10/13(日)の2日…
  3.  市原市では、現在「文化交流施設整備基本構想」の検討が進められており、この構想について市民の皆さんと一緒に考える「文化交流施設シンポジウム」…
  4.  親子で楽しめる『マミーズマルシェ・ハロウィンパーティー』が10月14日(祝)、夢ホールで開催される。主催は『マミーズハンドメイド』、子育て…
  5.  市原市、君津市、大多喜町が連携したスタンプラリーが8月26日(月)から12月15日(日)まで開催中です。久留里線、小湊鉄道、いすみ鉄道のロ…
  6.  マザー牧場では、9月1日(土)から11月30日(土)までの3カ月間、芸術の秋を楽しむイベント『第23回秋のこども写生大会』を開催中です。 …
  7.  先日、実家の父が他界しました。厳格な昭和の父から厳しく育てられた私は、中学生の頃、家を飛び出したこともありました。そんな父のお陰で、私たち…
  8. 【写真】2024年4月『みんなとうたコンサート』にて 『南総ラ・ムジカ』は、オペラを愛する市民合唱団。睦沢町中央公民館で…
  9.  動物たちを飼うには、彼らが生涯、安心して暮らせる環境が求められています。捨てられて保健所に捕獲されたり、個人の多頭飼育崩壊などで持ち込まれ…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る