季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

春も末になると、鋤き返された田に水が張られ、風景は一変する。それまで褐色だった大地が水鏡により輝き出すからだ。水鏡は空を映し雲を映す。風のゆらめきや太陽の光彩を捉える▼まだ早苗の植えられていない広々とした田んぼを眺めながら私は思う。水の惑星といわれる地球は、この水田を含めてのことなのだと。水色のビー玉のような地球▼そんな私をじっと見つめているものがある。ちっぽけな私を哀れむかのように。はるか天空の昼の月だ。が、それは私の錯覚、月が私などに関心を持つはずがない。彼は宇宙に浮かぶ一天体にすぎないのだ。私は白面の月を仰ぎながら、無常とか、永遠とか、物の哀れなどという言葉を胸の中でしばらく反芻していた。

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