目標設定と客観評価、新たな指標で里山づくりに挑む

おとずれ山の会

 毎月第2・4木曜日に市原市天羽田、木更津市真里谷のいずれかの森で活動を行っている『おとずれ山の会』。平成18年10月の活動スタートから、早11年が経とうとしている。当初は木更津市の『おとずれの森(2.3ha)』のみだったが、平成23年には天羽田の『ジャックの森・アモーの森(計3.8ha)』も担当するようになった。
 メンバーは主に市原市の13名、他木更津市や袖ケ浦市、君津市在住の全18名。取材日の7月下旬、ジャックの森には11名(男7・女4)が集合した。代表の高橋順子さんは、「この会のスローガンは、作業を楽しみながら環境整備に寄与することです。平成25年から、林野庁の『森林・山村多面的機能発揮対策交付金制度』の採択を受けて活動しています。里山活動は試行錯誤の連続ですが、ゆくゆくはこの場所を子ども達に提供し、勉強の材料にしてもらえたらと思います」と語る。
 同制度では、森づくりの目標と年次計画を設定し、使用費用を厳密に管理しつつ、安全な作業運営が義務付けられている。刈払いや除間伐作業だけでなく、森の植生調査や樹木の密度管理など、森づくりの基本を踏まえた活動が必要だ。「今年度は、相対幹距比という指標を使って樹木の混み具合を客観的に評価し管理してゆくことが指導されています。希少種の保全への取り組みと併せ、里山活動が新しい局面を迎えている感じがしています」と、高橋和靖さんも続ける。
 相対幹距比とは、木の高さに対する幹と幹との間隔の割合の平均値で、樹木の込み具合を表す指標として使われる。竹林の場合は、成長が早いうえに手入れが追い付かず荒れ放題になっているところが多いが、駆除するだけでなく、美しい竹林として保全してゆくことも大切。ほどよく陽が射しそよ風が通り、傘を差して回遊できるような距離を保つのが理想とされている。
 この日、作業の第一行程は、竹の本数調査。5m?×5m?のエリアを2カ所選び、紐で正方形に囲み、角に杭を打ち込む。25㎡の中には5~10本の竹が標準とされるため、伐採する竹を選定する。「今後5年間杭は動かしません。混み合っているところは間伐し、少ない場所では新たに生えてくる竹を保護しながらエリア内の本数を管理します。今後の調査を含め、活動報告を林野庁に提出します」と話す、和靖さんの横では、メンバーが手慣れた様子で竹を切っていく。
 同時に、女性メンバー達は、それぞれ刈払機を使用して下刈り作業を進めていた。気温33度の猛暑だが、竹林の中は日陰が多く、風が抜けると涼しささえ感じられる。枯れ木の枝に糸トンボが擬態して止まり、木の株にミツバチが飛びまわる。
 休憩時間になると、「里山は“人間に返れる森”だと思います。活動している60、70代のみなさんにとっては、退職し、ほっとひと息ついて自分を取り戻す貴重な時間なのではないでしょうか」と、順子さん。切り株に腰かけ、輪になって一服するメンバー達。彼らの仲を深めているのは、単に作業が順調に進められているという達成感だけではなく、活動を支える和気あいあいとした雰囲気だ。持ち寄った菓子や香物を分けあい、冷たいお茶を飲んで冗談を言い合う。「季節を味わおう」と、秋には野点の茶席を設けたり、春にはタラの芽や山菜を摘み、その場で天ぷらにして楽しんだりした。
 そして、第二行程は伐採した竹の活用となる製品加工だ。ランプシェードやバターナイフ、炭置き入れなどを並べると、思わず手に取りたくなる可愛らしさ。「竹はカビやすいので乾燥がポイント。仕上げに柿渋を塗って」という工夫も。作品は、9月23日に市主催で行われる『いちはら環境フェスタ』に出品予定だ。
 「目標に向かって作業し、この森がどう変わっていくか楽しみです」、「夫婦で参加していますが、家での会話も増えますよ」、「初めの一歩を踏み出すのは勇気がいりますが、お友達と気軽にいらしてみては?」とメンバーの声も様々。活動に参加するには少しの勇気があればいいが、継続するには大きな力が必要なのかもしれない。

問合せ 高橋さん
TEL 090・4735・6504

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