私達の青春は、なぎなた一色に染まっている

磯貝 七海さん 石川 あす夏さん

 市原市在住の磯貝七海さん(18)と石川あす夏さん(18)は、共に千葉市稲毛区にある千葉女子高校に通う3年生だ。なぎなた部に所属し、今年10月に愛媛県で開催される国体へ出場。取材時の8月下旬、市原市なぎなた連盟の高澤酉子さんは、「私達も愛媛まで応援に行きます。なぎなたは試合競技と演技競技の2種類あり、演技の場合は咳払いひとつできないほど緊張した空気なんですよ」と、嬉しそうに話す。
 剣道・柔道とともに日本の伝統的武道であり、試合競技では2m余りの長さのなぎなたを持ち、面・胴・すね・小手を打ちつき勝負する。市原市なぎなた連盟は今年で創立31周年を迎え、まだ競技人口の少ないなぎなた道の普及、発展に尽力を続けている。
 磯貝さんがなぎなたに出会ったのは3歳の時。祖母と一緒に行ったなぎなた連盟での練習がきっかけだった。「私達の足の上に彼女の小さな足をのせて、踏み込みを練習していました。連盟の会員は年齢層が高いので嬉しかったです。一度教えるとすぐに覚えてのみこみが早かったですね」と、連盟の池谷陽子さんも続けた。
 「初めの記憶は、なぎなたよりも折り紙を折って遊んでいたことばかり覚えています」と笑う磯貝さんは、五井中学3年生まで毎週土曜日に連盟での練習を続けた。頭角を現したのは幼い頃からだった。6歳で千葉県大会の演技初級の部で優勝。その後、JOC(ジュニアオリンピックカップ)の強化選手として選抜され、数々の試合に出場しては技に磨きをかけ、平成27年7月に二段を取得した。
 身長が153㎝と少し小柄だが、彼女の持ち味はスピードだとか。「バスケやソフトテニスも経験しているので運動は得意です。今は、朝から夜まで土日関係なく部活でなぎなたに染まっているかな。なぎなたは相手に勝つというよりも自分に勝つことが大切だと思うんですが、メンタルが弱くなる時があるので気をつけています。負けず嫌いなんですけどね」と、自身を分析する。
 快活に話す様子は、とてもまっすぐで素直な印象だ。そんな彼女を見て、「なぎなたをやっていたことが彼女の真面目さを活かす支えになったと思います。高2の県大会の時には、試合を見て思わず感極まって泣いてしまいました。中学まではなぎなた連盟の方、高校でもとても良い仲間に恵まれているようです。石川さんは試合の時も度胸があるので、娘にはいい刺激になっているかも」と、磯貝さんの母、純子さんも続けた。
 石川さんがなぎなたを始めたのは高校に入学して、なぎなた部の存在を知ってからだ。何か新しいことを始めたいと思っていたのも理由のひとつ。部内に9人いる同学年のうち、なぎなた経験者は磯貝さんを含めて2人。初めは技を身につけるのがとても難しく、自宅に帰ってから一人涙したこともあったとか。それでも、ここまで大きく成長できたのはなぜなのか。「幼稚園の頃から、柔道をやっていたのが生きたのかもしれません。足の踏み込み方とかが似ています。試合で負けては悔しい想いをすることが多かったですが、団体戦で出場し1番手で勝てた時はとても嬉しかったです。勝利の一手を担った達成感と、みんなが喜びで湧いたので」と、回想する。よく通る大きな声、長身の存在感。2人が、「面と防具をつければ無敵!」と無邪気に笑うように、試合ではその姿がよく映えるのだろう。
 まずは秋の国体で好成績を収めることが目標の2人。「前年の岩手国体と2年連続で出場できることがとても嬉しいです。勝ち進みたい」と喜びを表す石川さん。磯貝さんも同じ気持ちだが、さらに、「高校を卒業したら部活は終わるけれど、大学生になったらまた市原なぎなた連盟で練習したいな」と話すと、高澤さんと池谷さんは「嬉しいです。大歓迎、待っています」と声を揃えて喜んだ。
 市原市なぎなた連盟は、現在年齢を問わず生徒を募集している。活動はゼットエー武道場で毎週金曜日午前9時半から11時半まででと、八幡公民館体育室で毎週土曜日14時から16時まで。詳細は問合せを。

問合せ 市原市なぎなた連盟事務局 水野さん
TEL 0436・66・3118

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