【東金市】武道の神髄を決して絶やさぬように/東金居合抜刀道同好会

東金居合抜刀道同好会 ↑代表の陳さん(前列右から3番目)と会員の皆さん

 昨年10月に開催された第21回国際抜刀道(ばっとうどう)連盟全国大会では、東金居合抜刀道同好会が試斬(しざん)の部で団体優勝、個人の部でも優勝と準優勝者を多く輩出した。抜刀道とは日本刀で物体を斬る武道のことで、同会は結成から約30年の歴史をもつ。会長の陳徳銘(ちんとくめい)さん(74)は、「結果が残せることはとても嬉しく、会員の努力の賜物でしょう」と話す。
 陳さんは青年時代、最盛期を迎えていたチャンバラや時代劇映画が大好きで、生まれ育った九十九里町の山に入っては自ら購入した刀で竹を斬っていたという。長く独学で居合抜刀道を勉強していたが、国際抜刀道連盟の存在を知り入会、練習に励むようになった。全国大会でも優勝するほど腕が上がった時、剣道道場をもつ友人から連絡が入った。「抜刀道の中の四方払之儀(しほうばらいのぎ)を頼まれたんです。東西南北の四方を一人で斬り、一年を無事に過ごすことを意味します。新年の稽古初め安全祈願に行うと良いとされています。道場内で子ども達に怪我が相次いだとお祓いのつもりだったのでしょう。それ以来は怪我がなくなったそうで感謝されると同時に、抜刀道に興味をもってくれる人が増えました」と、陳さんは回想する。この件をきっかけに同好会を設立、36歳の時だった。「同好会としたのは、上下関係もなくみんなで楽しめるような会にしたかったから」だとか。 
 現在の会員数は30人ほどで、小学生から80歳以上まで幅広い世代で共に練習を重ねている。結成当初より所属している新藤苗夫(みつお)さんは、「私は道場を開いているのですが、こちらと流派は違います。ここのように真剣で藁を斬ることなど考えたこともありませんでした。流派が違うからこそ楽しいんですね。学ぶ気持ちがあれば、何歳になっても何でもやれるのだと思います」と語る。戸山流・中山流制定刀法や三方斬り露払いなど練習日によって内容が変わるものの、加入時期に係わらず練習に参加できる。
 陳さんは、「メニューはみんな同じです。構えなど習得をゆっくりされる場合は、私が時間をかけて教えることもあります。大切なのは、仲良く楽しく」と、モットーを告げる。その雰囲気の良さは、子ども達世代にも伝わるようだ。大学生の東琴音さんは、「年上の人が多いので社会勉強になります。15歳から始めていますが、真剣を扱うことは未だに緊張します。それでも今回、大会の個人の『2段以下形の部』で優勝できたことは自分の中で大きな自信になりました」と笑顔を見せる。東さんは、陳さんのお孫さん。同会の事務作業面でも陳さんを支えており、「普段はいつも笑っている温和な祖父ですが、練習の時に見せる真剣な顔と、うまくできない時に丁寧に教えている姿は尊敬します」と続けた。
 また、中学3年生の野口賢心(けんしん)さんは個人戦『2段以下の試斬の部』で優勝。15歳での優勝は大会史上最年少記録で、「構えの時に角度が低くならないように気を付けたのが勝因かな」と分析する。中1の夏に入会、練習を通して技の他にも「集中力のオンとオフの切り替えが自分でうまくできるようになりました。以前よりも姿勢が良くなった」とプラスに働いている。

心を鎮め、刀を抜け

 年齢に関わらず、みんなが自然と背筋を伸ばす。刀を帯に差し、陳さんの声に合わせてすっと鞘から引き抜く。「えいっ、やぁー」、と掛け声が冬の道場に響く。取材日に行われた四方払之儀では、四隅に立てられた藁を全員が順番に刀で斬っていく。刀が入るのは一瞬のことで、目にもとまらぬ速さだった。
 この日、練習道場を訪れていたのは、市原市で居合や剣術を主とした総合武術を行う立身流市原市部長の近藤恭弘さん。「私も陳さんから真剣について様々なことを教えていただきました。陳さんの指導及び剣術は素晴らしく、それが会の結果に表れているのでしょう」と、感心しきりの様子。武道場や剣術仲間同士の横のつながりも頻繁のようだ。老若男女関わらず、「続けられる限り練習したい」と話す。
 同会は会員を募集中で、練習は毎週日曜日午後5時から7時まで。東金市立東金中学校の武道場で行われており、年会費5千円。全国大会や昇段審査、スポーツ安全保険など別途費用が必要な場合あり。胴着の指定はなく、相応の格好であればOK。詳細は問合せを。


問合せ 陳さん
TEL 090・2254・2434

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