俳画と文 松下佳紀


ある日どこから侵入したのか、机に一匹の蠅が飛んできた。本に止まった、と思うと私の頭に止まる。追い払っても舞い戻る。ぶんぶんと羽音がうるさい。誠に不愉快だ。しかし、それで思い出したことがある▼少年期の私が読書中に五月蠅(うるさ)いの文字に出会ったことを。敏捷な蠅と五月の季節感を見事に言い表し、実に面白いと感じ入ったことを…▼後に煙草(たばこ)、麦酒(びいる)、海苔(のり)、浪漫的(ろまんちっく)、五月雨(さみだれ)、餓鬼(がき)などルビの付いた当て字を発見しては喜んだものだ。更に鴉が啞啞(ああ)と鳴き、詩人が嗚呼(ああ)と嘆く字面にも共鳴した▼以上、少年期の関心事が今に至る私の俳諧趣味に及んでいることを改めて知ると共に算数はまるで駄目、国語の書き取りなどは好きだったのを思い出す。

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