鹿児島出身、市原市美術会初代会長 画家・古城江観 「アトリエ記念の森」譲渡先を探しています【市原市】

 鹿児島県出身で、市原市美術会・市原市文化団体連合会を設立し、フランスの近代美術館やイギリス王室にも作品が所蔵されている日本画家、故・古城江観(本名・古城三之助)をご存じだろうか。市原市菊間には、彼の自宅兼アトリエだった昭和モダン木造建築の家屋と、周囲の森約400坪が遺されている。 古城江観は明治24年、鹿児島県出水郡高尾野町(現出水市)に生まれた。市原市・南総病院で98歳で死去した後、ふるさとの高尾野町では町民葬が執り行われ、名誉町民となった。現在、出水市高尾野町郷土館・古城画伯コレクション館には、江観本人が寄贈した絵画作品や世界各地の民俗コレクションなど、約700点が展示されている。 江観は日本画家を志し、同郷の世界的洋画家・黒田清輝に若くして認められ、東京美術学校(現東京芸術大学)日本画科教授・福井江亭の指導を受けた。文展に入選するなど実績を積み、大正10年の帝国美術院出品作『筏2題』は英国王室が所蔵。33歳で日本を出、異文化の歴史や風物を求めて12年間、スケッチを描き世界を旅する。フランスにも滞在してサロンに18回入選、そのうちの『ジャワ漁村風景』はフランス近代美術館に買い上げられた。44歳で帰国し、日本各地で個展を開き、昭和になって師・福井江亭の別邸アトリエであった現在の市原市菊間へと移り住んだ。市原市美術会を設立したのが昭和38年、江観78歳のとき。続いて、市原市文化団体連合会を設立したのが昭和42年だった。
 自然を愛した江観は自宅の樹木も池もそのまま残し、息子でありガーデンプランナーの古城大陸氏が引き継いだが、大陸氏も今年80歳。年齢と健康上の問題で、以前と同じような管理が難しくなっている。「父のアトリエがある森は、長年子どもたちに解放して『想いでつくりの森』として手入れしてきました。しかし私が管理できなくなりつつある今、残していくには何らかの手立てが必要です。父が愛し、子どもたちが自由に遊んだこの森を、今後も文化拠点・市民のオアシスとして残していくため、再生・引き継いでくださる方に、無償で全譲渡を検討しています。個人・企業・NPOなど、問いません」とのこと。詳細等、問合せは古城氏へ。
TEL.090・5579・5898

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