更蝸(こうか)つれづれ 「更級日記」千年紀考

 2020年は「更級日記」作者・菅原孝標娘(すがわらのたかすえのむすめ)の帰京から1000年。作者は父の上総介(かずさのすけ)任務に伴い、上総の国府があった市原市で、兄・姉とともに多感な少女時代(10歳~13歳)の4年間を過ごした。「更級日記」の書出しは、上総の国からの帰京の場面にて始まる。「あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを…」と語り、上総の国での思い、帰京の道中記、帰京後の都での生活、結婚及び老境までのおよそ40年間の人生を回想する自叙伝とも言える作品である。
 作者の夫は長男を連れ信濃守に就き、任務半ばで病気となり帰京、他界する。赴任先の更級郡には有名な「田毎の月」(国の重要文化財的景観地第一号)があり、その輝きを遠く離れ思い眺めていたことから、「更級」になったとも言われ感慨深く思う。また富士山の噴火記録「富士の山はこの国なり。わが生ひ出でし国にては西おもてに見えし山なり…山のいただきの少し平らぎたるより、けぶりは立ちのぼる。夕暮は火の燃えたつも見ゆ」も記載され、貴重な歴史書との評価も得ている。
「更級日記」には様々な見方・読み方があるが、市原に住む私にとっては、「更級日記発祥の地・市原」であり、郷土のお宝である。ギャラリーに掲示するキャラクター「更ちゃん(イラスト)」もかなり前に制作したもので、右手は明るい希望とわが郷土の未来・方向をしっかりと指し、左手の杖は長旅の必需品、郷土を支えるサポーター(市民)となる。元気あるこの姿は、来廊する方などから「可愛らしく親しみやすい」と、多くの好評をいただけた。今後も「不壊の魅力・更級日記」を、広く永く発信していければと思っている。

・相川浩:市原市出身。三井造船で定年まで勤め、退職直後の平成20年、自宅敷地にギャラリー・和更堂を設立。多くの郷土の芸術家と交流する。「更級日記千年紀の会」事務局担当。
TEL.0436・98・5251

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