ふるさとビジター館 いちはら自然探訪  キイトトンボ

 トンボはどんな色?と尋ねると、「アカトンボ」などに歌われるような赤、オニヤンマのような黒と黄色の縞模様、シオカラトンボの粉を帯びた灰青色、そのメスであるムギワラトンボのような褐色などの答えが多いと思う。今回紹介するキイトトンボは、名前の通りほぼ全身鮮やかな黄色の、イトトンボの仲間である。
 全長31~45ミリ。目や胸は黄緑色だが、オスの腹は菜の花のように明るく鮮やかな黄色。先端上部が黒色で、そのコントラストも美しい。メスは、ほぼ全身黄緑色。イトトンボの多くは湖沼に生息、浮葉植物の間を行き来しており、水の色に溶け込むような青色をした種類が多い。一方、キイトトンボは、湿地の抽水植物が多い場所に生息、植物の色に溶け込むような黄色や黄緑色をしていると推定される。保護色である。
 飛び方も面白い。滑らかな直線的ではなく、ツンツンと小刻みにゆっくり前進する。繁茂する植物の間を飛翔しながら、小さな昆虫を捕えるのに好都合なのだろう。大食漢のようで、時にはイトトンボも捕食することがあるそうだ。
 北海道や南西諸島を除いてほぼ全国的に分布するが、千葉県レッドリスト2019ではCの要保護生物。市原市近郊でも生息域が限られており、水辺の環境を保全していくことが、彼らを守ることにつながる。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

ナチュラリストネット
自然を愛する仲間の集まりです。市原の豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。TEL.080-5183-9684(野坂)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  森や川に生息する動植物などを観察し、親子で自然を楽しみましょう!4月27日(土)、9月7日(土)、11月9日(土)の全3回に渡って行い、講…
  2.  いつの間にか春も盛り。寒いうちに庭木に寒肥(肥料)を与えておこうと思ったのに遅くなってしまいました。寒い時は庭仕事がどうしても億劫になって…
  3. 【写真】ケヤキ一枚板のカウンターと。左から鈴木さん、悦子さん、智明さん  大谷家具製作所は2011年11月に長南町長南に工…
  4. 『リーダーハーフェン』は1982年結成の男声合唱団で、42年間その歌声を響かせてきた。構成は、トップテノール・セカンドテノール・バリトン・…
  5.  多くの映画ファンを虜(とりこ)にした女優オードリー・ヘプバーンを、前半・後半と2回に分けて掲載します。ヘプバーンは今でも日本や欧米諸国で人…
  6.  昔から『言葉3割、行動7割』という言葉があります。「子どもは親の言うことの3割までしか身に付けないが、親の行うことはその7割以上を身に付け…
  7.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…
  8. 【写真】本須賀海岸(当写真は特別な許可を得て撮影しています)  マリンアクティビティのイメージが強い九十九里エリア。成田国…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】ケヤキ一枚板のカウンターと。左から鈴木さん、悦子さん、智明さん  大谷家具製作所は2011年11月に長南町長南に工…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る