ぼくたち海ごみ調査隊!~海のごみについて詳しく知ろう~ 一宮ウミガメを見守る会【一宮町】

『一宮ウミガメを見守る会』は3~5月にかけて、『ウミガメがやってくる町・一宮の海をもっと知ろう!』と題し、3回の連続ワークショップを開催した。4月10日(日)に行われた第2回のテーマは、『ぼくたち海ごみ調査隊!』。1~6年の小学生17名と保護者が参加し、専門家から海ごみ問題の現状について話をきいた。実際に海辺で拾ったごみを観察し、どんなごみがあるのか、未来に向けて自分たちができることは何かと、子どもたちが考えをめぐらせる機会となった。

今、世界の海でおこっていること

 初めに『一宮ウミガメを見守る会』代表の渡部明美さんから、「ウミガメが産卵で訪れたり、卵からかえった子ガメが海へ帰ったりする時に、砂浜にごみがあるとそれをよけて通るのがとても大変です。一宮の海が、ウミガメにとっていつまでも安心して来ることができる海であるために、私たちにできることは何か一緒に考えましょう。そしてこれからも関心を持ち続けてください」と、子どもたちに話しかけた。

 講師は『一般社団法人JEAN』の小島あずささん。JEANは1990年から海洋ごみ問題のために活動するNGOで、ごみを拾うだけではなく元から減らすために、ごみの内容を調査する全国クリーンアップキャンペーンや、講演・ワークショップなどの啓発を行っている。

「世界中で今、海のごみが大問題になっています」と、小島さんは話し始めた。プラスチックの輪が口にはまってしまったアザラシ、漁業用の網が体に絡まったオットセイの子ども、レジ袋を飲み込もうとして喉が詰まってしまったウミガメ。次々と映し出される映像に子どもたちは息をのむ。北西ハワイ諸島で子育てをするコアホウドリの写真を見ながら小島さんは、「親鳥は餌だと思って飲み込んだプラスチックをヒナに与えてしまい、お腹の中がプラスチックでいっぱいになったヒナは、それ以上食べられずに弱って死んでしまうこともあります。北西ハワイには、海流の関係で日本からのごみがとても多い。4000キロも離れた島の鳥のお腹が私たちの出したごみでいっぱいになっていると想像してみてください。ごみが生き物を傷つけています。生き物たちの前足やひれは人間の手と違って、網が絡まっても自分で取ることができない。ごみを飲み込むと喉に詰まったり、消化できずに苦しんだりします」と話す。

網に絡まって死んだウミガメ

 次に小島さんは「海のごみはどこから来るの?」と問いかけた。写真は、自動販売機の横の空き容器回収箱にうずたかく積まれたごみ、ごみの収集所や道路沿いに散らかるごみを写し出す。「海のごみの7割は陸からのごみ。川がごみの通り道となり、ごみが海へ流れていきます。街や川がきれいにならないと海もきれいにはなりません」。無人島の浜、人が立ち入ることが困難な海岸にも大量のごみが流れ着く。海底にもごみは溜まっている。「底引き網漁の網を10分引いただけで、驚くほどの量のごみがかかります」。小島さんの説明に子どもたちは真剣に聞き入っていた。

海にあふれるプラスチック

 後半は「実際に海にどんなごみがあるか観察してみよう」と、全員砂浜へ。子どもたちは友人や保護者と一緒に、足元を注意深く見ながらごみを探した。ごみ拾いを終え、「きれいに見えた一宮の海でも、少し歩いただけでプラスチックのごみや掘り出せないような大きなごみがありましたね」と、小島さん。

海岸で拾ったごみで作られたカメのオブジェ(第1回ワークショップで作製)

 砂浜から取ってきた砂を水を張った水槽に入れ、沈まずに浮いているものに注目した。緑色の破片を取り上げ、「これは何だろう?」と問いかける。子どもたちからは、「人工芝」「マイクロプラスチック」という声。小島さんは、「人工芝はいつも緑で便利だけど、細かい破片が海に流れていってしまいます。海のごみのほとんどはプラスチック。プラスチックは軽くて便利ですが、自然界では分解されず、古くなると割れたり折れたりしてどんどん細かいかけらになる。いろいろな生き物がいろいろなプラスチックを飲み込みます。クラゲは海水を体に取り込みますが、その中に小さな小さなプラスチックがあるんです」と、語りかける。最後に、「出てしまったごみを全部拾うのはもはや無理。新しいごみが海に出ていくことを止めるために今日から何をすればいいかみんなで考えよう」と結んだ。

 イベントを終えた子どもたちは、「ごみが山積みになった海岸の写真を見てびっくりした」「プラスチックを食べた魚を自分が食べるのは怖い」と話し、「気が付いたごみはすぐに拾いたい」「ごみを出さないように物を長く大切に使いたい」と自分たちの問題として感想を述べた。『一宮ウミガメを見守る会』は会員を随時募集中。7月には『ウミガメの足跡探しツアー』を開催予定。詳しくは問合せを。

 

一宮ウミガメを見守る会 Facebook

問合せ:一宮ウミガメを見守る会 渡部さん

Tel.090・1807・7139

mail:kameakemi777@yahoo.co.jp

HP:https://ichinomiyaumigame.jp/history/

・一般社団法人JEAN HP:http://www.jean.jp

 

 

 

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