誰もが幸せな未来を創る―SDGs市原市の取り組み~『いちはら版 Get The Point』完成~【市原市】

【写真】第1回プロジェクトチームのメンバー。前列中央は小出市原市長

 

 市原市は2021年5月、内閣府から『SDGs未来都市』『自治体SDGsモデル事業』のダブル選定を県内初で受けた。市は、国連が定めたSDGsゴールの2030年までを3年ごとに区切って戦略を策定。第1期は2021年~23年。リーディングプロジェクトとして『市原発サーキュラーエコノミーの創造』『里山・アートを活かした持続可能なまちづくり』『子ども・若者の貧困対策』の3つを掲げている。市民の関心を広げるため、今年2月にはSDGsを学べるボードゲーム『いちはら版Get The Point』と学習BOOKを完成させた。

SDGs戦略を形に

ゲームを手にした南雲さん

「SDGsって何ですか?」との質問に「みんなが幸せになるためのみんなの目標です」と答えてくれたのは、市原市役所企画部総合計画推進課の南雲仁志さん。今年は戦略第1期の最終年。先駆的な技術を活用した食品トレーなどポリスチレン製品の再生循環の事業モデル構築や、空き家への移住促進、企業誘致拡大を目指す『高滝湖コーポレートオフィス』の開設など、具体的な活動に成果が出始めた。

 企業への働きかけにも力が入る。再生可能エネルギーの普及促進、省エネルギー設備への転換など、SDGs達成に向けて加速すべく『市原市SDGs宣言制度・アワード制度』を創設。宣言した企業に認定証を授与、優れた取り組みを表彰する他、新たなビジネスチャンスにつながるよう、SDGsに先進的な企業のネットワークづくりも検討中だ。また、『いちはら×アートミックス』を代表とする自然と共生する文化を『世界に一番近いSATOYAMA』ブランドとして定着させ、さらなる交流人口拡大を目指している。

 しかしこうした活動の推進にあたっては、市民の協力が不可欠。「SDGsは耳にしているけど、自分は何をすれば?という方も多いと思うんです。トレーの分別ひとつとっても、皆さんの意識が高まらないとうまくいきませんし、SDGsを知りたいと思う人も、講演などではなかなか参加が…」と苦笑いの南雲さん。

裾野を広げて未来都市いちはらへGO

 そこで目をつけたのは、楽しみながらSDGsが学べるボードゲーム『Get The Point』。すなばコーポレーション(株)制作、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめるゲームで、第3回全日本ゲーミフィケーションコンペティションでグランプリを受賞した。

資源カード(上)と、サスティナブル&クライシスカード

 ゲームは最初に個人戦、次に4人1組で団体戦を行う。個人戦は、鉄や化石燃料、木材、動物などの資源を使って車や食品などのアイテムを獲得していき、資源がなくなったら終了。いわば資源の奪い合いで、手に入れたアイテムに記載された点数の合計が多い人の勝ち。団体戦も同様の展開だが、4人で資源が枯渇しないよう協力して10周続け、10周が終了した時点で4人の合計点が多いチームの勝ちとルールが変わる。その間、異常気象や森林破壊などの困難が記載されたクライシスカードや、リサイクルや自然エネルギーの活用などが記載されたお助けのサスティナブルカードを引くイベントがある。各カードには、その出来事に起因する資源の削除や復活が指示され、突然の出来事に対処しながら、チームで資源の使い方を考え、協力して高得点を目指す。

 市民にSDGsをより身近に感じて楽しんでもらえるよう、市はこのゲームのいちはら版を制作。「SDGsのゴール・2030年に活躍する若い人たちに考えてもらおう」とのことで、高校生や大学生を中心に若者10名でプロジェクトチームを結成、昨年6月から検討を重ねた。

試作版体験会で楽しむ子どもたち

 獲得できるアイテムは、『ゴルフウェア(ゴルフ場は市の重要な観光資源)』や千葉県指定伝統的工芸品『南総竹細工』、梨やイチジクなどの『市原市特産フルーツ』他、市原の特長を活かしたものに。クライシスカードは、『豪雨、超大型台風発生』や『獣害(イノシシなどによる農作物への被害)』他4枚、サスティナブルカードは、『サーキュラーエコノミー』や『循環型堆肥でつくる野菜ブランド』、『ソーラーシェアリング(農地を太陽光発電に活用する市原発祥のシステム)』他4枚。全国版のサスティナブルカードは6枚だが、いちはら版ではSDGsの取り組みの多さを反映して7枚になった。

「ゲームの最中、イベントカードで盛り上がって、わあっと歓声が湧いたり悲鳴があがったり…みんな楽しいって言ってくれます」と南雲さん。参加者が代わると別の考え方を知ることができるので、何度でも楽しめる。2月には完成披露会を実施、制作した1000セットのゲームは市内の全小中学校、高校、大学等に配布。公民館や企業などでも出前講座が開かれている。

 市民の関心を喚起して目指すSDGs未来都市いちはら。今後の展開から目が離せない。

 

問合せ:市原市企画部総合計画推進課 Tel.0436・23・9820

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…
  2. 【写真】本須賀海岸(当写真は特別な許可を得て撮影しています)  マリンアクティビティのイメージが強い九十九里エリア。成田国…
  3.  マザー牧場(富津市)では、2~3月が羊の出産シーズン。今年は約20頭が出産。第1号は2月22日に生まれた品種「サファーク」の女の子。黒い顔…
  4.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月6日(木)~6月11日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける方…
  5.  新芽が出始めた春の里山を散策してみた。葉の色や形、大きさなど種類の多さが感じられる。葉の多様性といったところか。  そんな中で高い木の枝…
  6. 【写真】チバニアンガイドの皆さん  2020年1月、市原市田淵の地磁気逆転層を含む地層『千葉セクション』がGSSP(地質年…
  7.  前回、近い将来起こるであろう世界的な食糧問題について書きましたが、多くの学者は、私達が生き延びるには人間が何万年と育んできた古来からの農法…
  8. 【写真】『音楽堂in市原《私の十八番》ガラコンサート』にて。ヴァィオリン・川井郁子さん、ピアノ・熊本マリさん  市原市市制…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る