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平和への祈りが、音楽となってホールに響く日を~歌手 加藤 登紀子 さん~【鴨川市】
- 2023/5/4
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5月21日(日)、君津市民文化ホールで開催される『百万本のバラ物語』。歌手の加藤登紀子さんが紡ぐプログラムには多くのメッセージが込められている。「私は今年の暮れに80歳を迎えます。人生で描いてきた点と線が、とても繋がってきていると感じるのです。だからこそ今、全人生をかけて答えを出していく時だと思っています」と、加藤さんはメッセージの一つを話す。プログラムは、1868年にフランスで生まれたシャンソンを代表する『さくらんぼの実る頃』や、オリジナル曲『ひとり寝の子守歌』、ジョン・レノンのカバー曲『イマジン』など多くが組まれている。「いつ戦争が終わるか分からない激動の時代であっても、歌は人々の近くにあり、祈りを込めて歌われています。私が出会った人々との奇跡を辿りながら、遠い時代を巡ってきた歌をうたいます」という。最後には、きみつ少年少女合唱団とのコラボレーションも披露される予定で、「とても楽しみにしています」と、加藤さんは語った。
人々との出会い
加藤さんの代表曲には、様々なものがある。前出であげた『さくらんぼの実る頃』は、ジーナ役として出演したジブリ映画で、劇中歌にもなっている。低音で心地よく響く声は、世代を問わず親しまれ、ジーナがホテルアドリアーナで歌う姿は、映画の有名なワンシーンとして記憶に残っているのではないだろうか。
また、『百万本のバラ』は、今回のコンサートにも使われており、コンセプトである。「元々はラトビアの子守歌のような歌謡曲が原曲。それがロシアで失恋ソングとして歌われ、有名になったのが、この歌です。昨年は、ウクライナへの進攻が始まり、まだ終わっていません。今回のコンサートで、平和への願いを伝えられたらと思います」と、加藤さん。
第二次世界大戦中の満州のハルビンで生まれた加藤さんは幼い頃、亡命ロシア人と生活で深く関わる機会が多くあった。戦争が終わり日本に帰国してからも、時として家族の仕事などでロシアやウクライナとのかかわりは続いた。「父はとても面白い人でした。私は常に父に対して反抗期だったかもしれませんが、私が生きる道筋を描いてくれたのは彼だったと思います」と、加藤さん。父親の提案が海外活動のきっかけになったことは何度もあったという。
「現在のウクライナだけでなく、戦争はいつも起きています。それでも出会う人々は、国としてではなく、人として話せる。そんな風に、歌でも国境を越えられたらうれしいです」と、続けた。そして昨年5月には、ウクライナ支援チャリティアルバム『果てなき大地の上に』を発売。故郷を奪われた人々へJFC日本チェルノブイリ連帯基金を通じ、支援している。
さらに、芸能界でも運命的な出会いはあった。「私の『知床旅情』を作詞作曲してくれたのは、森繁久弥さんです。私が満州にいた幼い頃、彼もアナウンサーとして満州にいて、同じころに引き揚げていました。ロングランされていた舞台『屋根の上のバイオリン弾き』はウクライナが舞台なんですよ。昨年はウクライナ進攻だけでなく、知床で海難事故もありました。そんな背景もあり、祈りをこめて歌いたいのです」という。それら加藤さんの半生や出会い、想いがつづられた本『百万本のバラ物語』も昨年12月に発売された。
千葉への愛
1980年代、加藤さんは夫や娘たちと千葉県鴨川市への移住を決断した。「3人目の娘ができた時で、子供を田舎で育てることに魅力を感じたんです。歌手活動があったので、私は東京との二拠点生活でしたが、今も鴨川市にいると空気もおいしくて気持ちが洗われるようです」と、話す加藤さん。
2002年に夫が他界すると、農業活動を引き継いだ。それは、今でもとても関心のある物事のひとつになっている。鴨川の農業は、次女で歌手のYaeさんが地域のネットワークを駆使しながら精力的に活動中だという。「次女は農業の他に、猪もとります。あの地でしっかりと根を張って、天職だといっている。すごいと思います」と話したあと、自身の活動についても「鴨川市の田んぼでできているお米は、明治神宮で執り行われる新嘗祭にも献上されているほど美味しいんです。でも、その明治神宮近辺はビル化される計画が出ています。自然をいかに大切に守っていくべきか、人とのつながりを大切にしながら声をあげていこうと活動しています」と、力強く話した。
●コンサート『百万本のバラ物語』
◇日時 5月21日(日) 開演16時(開場15時)
◇チケット購入
・君津市民文化ホール
・ローソンチケット(Lコード:73981)
http://l-tike.com/
・チケットぴあ(Pコード:232の884)
http://t.pia.jp/
・イープラス
http://eplus.jp/
問合せ:君津市民文化ホール
〒299の1172
千葉県君津市三直622
Tel.0439・55・3300