懐かしのシネマ~冒険者たち~

 今回ご紹介するシネマは、「冒険者たち」です。製作国=フランス・イタリア、日本での公開=1967年(昭和42年)、1時間53分。監督はロベール・アンリコ(2001年没)、主演はご存知、伝説的2枚目俳優アラン・ドロン。「太陽がいっぱい」「若者のすべて」で名を馳せました。共演の1人、リノ・ヴァンチュラは、1954年、ジャン・ギャバン主演の「現金(げんなま)に手を出すな」のギャング役で映画デビュー。ギャバンの助言もあり、ギャング映画に多く出演しましたが、1987年に心臓発作で死去、享年68歳。2人目の共演者は、ジョアンナ・シムカス。アメリカ黒人俳優の先駆者シドニー・ポワチェと結婚し、若くして映画界を引退。この作品は女優ジョアンナ・シムカスの代表作です。

 監督のアンリコは、個性豊かな3人を選び、入念な演出で最高傑作を作り上げました。米国映画に比べ、仏映画は派手さはなく地味ですが、この作品の後、年齢差のある男性2人・妙齢の女性1人という、友情作品が多く作られました。故・千葉真一もこの映画にほれ込み、東映製作の「冒険者カミカゼ」に主演、共演は真田広之と秋吉久美子で、1981年に上映されています。

 物語は、元レーサーのローラン(リノ)、アクロバット飛行をしているマヌー(アラン)、芸術家の卵レティシア(ジョアンナ)の奇妙な友情と、人生逆転を狙った冒険、その代価が描かれます。3人はそれぞれの夢が破れたことで、一攫千金のため海底の財宝探しの旅へ。ところが財宝を引き上げたところでギャングにレティシアを殺されてしまいます。残ったローランとマヌーは手にした財宝とともに、レティシアが暮らしたがっていた要塞島に来て、次の夢を語り合いますが、再度ギャングの襲来を受けます。最後の男ふたりの会話、全編を通して何度も流れるメインテーマの哀愁、フランス映画の軽妙洒脱な演出に美しい風景。未鑑賞の方はぜひご覧になる価値ありです。

 

◇黛葉(まゆずみ・よう) 茂原市在住。1942年生。元映画配給会社宣伝プロデューサー。現役時代は年200本以上を鑑賞、現在、放送された洋邦画の録画DVDは1100枚以上にのぼる。

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