いすみ市のガイド本出版

いすみ市のガイド本出版 自ら実践『スローライフはいかが?』 本多 典子さん 「波を彫っては天下一」、「関東に行ったら波を彫るな」と言わしめた初代『波の伊八』こと武志伊八郎伸由。そんな房総の名工といわれる伊八の彫刻が、いすみ市内の行元寺、飯縄寺、光福寺、長福寺に残されていることは有名な話しだ。 が、『放浪記』の作者林芙美子が現在のJR外房線三門駅に降り立ち、日在海岸を散歩したことをご存知だろうか。また日在海岸に別荘『鴎荘』を建てた森鴎外が、随筆『妄想』の中で夷隅川河口の海岸のようすを描いていることは? 歌人若山牧水が大原駅で下車し小浜海岸の海水浴大旅館に宿泊したことは? 山本有三もまた代表作『真実一路』の中で大原海水浴場のようすを描いている。 「2003年、柏市からいすみへ移住し、千葉のことなら何でもご存知という元県議の方と知り合いになり、いろいろお話しをうかがっていくうちに、いすみにはすばらしい文学者や偉人が訪れていて、数々の作品を残していることを知りました。でも、それを地元の方でも知らない。それはとても残念なことだと思ったのです。だから、地元の方はもちろん、全国にいすみのよさを発信したいと思って本の執筆に至りました」と話すのは、昨年10月、『スローライフはいかが? いすみ わくわくガイドブック』(文芸社)を出版したいすみ市榎沢在住の本多典子(ペンネーム池ヶ谷典子)さん(65)だ。 本多さんは、移住して3年後にいすみ市のよさ、そして暮らしやすさを書いた『南房総「月十万円で暮らせる町」の住人達』を出版。その後も、趣味の陶芸やカラオケなどを通じて地元の方と親睦を深め、一方では町の『いすみ市定住促進協議会』の相談員としていすみ市と接点を持ち、地元のために活動するサークルや団体にもみずから加わり、「当初は最初の本の増刷の予定だったんですけれど、いろいろな方々と接するうちに情報も増えて、以前よりもっと書きたいことも増え、これは書くしかないなって」と今回、新たな本の出版に踏み切った。 ご主人のリタイヤとともにいすみ市へ住民票を移し丸10年。それまでは、塾講師としてずっと働きづめだったという本多さん。「時間に追われて、1日中動き回っていた感じでしたね。時間がなくて食事も車を運転しながらとったり。今はもう目覚まし時計も使いません。晴れたら畑に行ったり、陶芸のために建てたギャラリーで作品作りをしたりしています」。野菜や米は近所の人が持ってきてくれる。朝早いうちに魚がとれたと持ってきてくれる人もいるという。「買うものはお肉ぐらいかしら」と笑う本多さん。外房生涯大学校や芸大出身の陶芸家について学んだ陶芸の腕は県展に入選するほど。晴耕雨読、まさにスローライフを満喫中だ。 ずっと住んでいれば当たり前のことだが、都会から移り住んだ者にとっては魅力的だ。そんな生活や自然がいすみ市にはあること、地元の人にも気づいてほしい。そして移住を考えている人、移住してきた人には、もっともっといすみ市を知ってほしい。ただ、「誰もが移住に成功しているわけではありません。やっぱり都会へ戻ってしまう人もいます。よいところだけ書いたのでは嘘になってしまいますから、そんな事例もちゃんと本には書いています」と田舎暮らしへの警告も忘れていない。そこで本多さんに移住に成功する秘訣をたずねてみた。すると「本にも書きましたけれど、郷に入れば郷に従えです」とひと言。「決して理想郷ではないですから。田舎暮らしにはリスクもあります。だから、目的を持って移り住むことが大切ですよね。そして積極的にサークルや地元の団体に入って、仲間作りをするとよいと思います」 本書には、本多さんが見て感じて、自分で足を運んで取材をしたいすみ市のよいところがぎっしりつまっている。また先に紹介した以外にもいすみ市と係わりのある偉人や名所旧跡が紹介されている。本を片手に訪ねてみるのもおもしろい。この本はまさにいすみ市のガイドブックといえる1冊だ。

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