彼らの悲鳴が今も絵から聞こえる『原爆の絵展』
- 2014/7/18
- 外房版
8月17日(日)まで、いすみ市大原にあるいすみ市市民ギャラリーで『原爆の絵展』が開催されている。会場に飾られた絵は26点。主に昭和49年と50年に収集されたもので、実際に戦争を体験された方が描いた、戦争の記録である。他にも、きのこ雲や荒れ地から復興までの光景を写したポスターも並べられている。
「この展示は平成20年から行われていて、所蔵される広島平和記念資料館からお借りしている。毎年絵は変わっているが、見られた方からは、平和の大切さが分かる、自分の戦争体験の記憶と重なったなどの感想をいただきます」と話すのは、いすみ市役所総務課主査の吉清丈司さん。
加えて今年は、2歳で被爆し10年後に白血病で亡くなった、『原爆の子の像』のモデルでもある佐々木貞子さんについての展示も併設されている。「いすみ市では、国吉中、大原中、岬中から各2名ずつが平和記念式典にも参加している。この展示会では年配の方だけでなく、多くの子どもたちにもしっかりと戦争の過去を見つめてもらいたい」と吉清さんは続けた。
展示中の絵は出兵する男性、焼死した人間、うつむいて涙を流す女性など、描き方や場面も多種にわたる。漫画やドラマでは描き出せない戦争というリアルさが、紙の上で生きているのを感じた。集団的自衛権、憲法9条改正などの問題で日本社会が揺れている今、過去の人々が学んできた事実から目をそむけてはいけない絵なのではないだろうか。
問合せ いすみ市教育委員会生涯学習課
TEL 0470・62・2811