『本気』になれた部活動 過ぎ去った時間は最高の思い出に

長生高校 フリークライミング部

 県内で10数校しかない部活に『フリークライミング部』がある。フリークライミングとは、ヨーロッパで登山がおこなわれるようになってから発生したスポーツだが、本格的な開始は1950年頃。登山家が自然でできた手がかりのホールドと、足場となるスタンスだけで岩壁を登り始め、近年では、意外と近場で体験のできる施設ができるようになってきた。
 「入学当初はどの部活に入ろうか決めていなかったんですけど、体験で一度やってみたらやみつきでした!」と話すのは、千葉県総合体育大会で団体優勝を果たした長生高校フリークライミング部の渡辺雄大さん(3年)。「高身長、それなりに身軽、でも筋肉がある。フリークライミングに向いている体型はこんな感じです」と話す渡辺さんを含め、確かに池田雄大さん(3年)と君塚僚太さん(3年)、3人の優勝したメンバーはその体型と合致する。
 「試合では、高さに規定はないけれど最低限の道具を使って登る『ボルタリング』と、自分でルートの途中にある確保する支点にロープをセットしながら登る『リードクライミング』の2つがあります」と池田さん。彼は、「テスト期間で部活が休みだったりすると身体もなまるしストレスが溜まるので、家で筋肉トレーニングは欠かさなかったです」と続ける。自宅でできる専用の器具を購入し、約30㎏の重りを付けての懸垂などを繰り返した。「ホールドを持てないとコースを達成できない。どんなものでも掴めるようには、筋肉が必要です」と熱く話す池田さん。
 フリークライミング部が同校で設立されてまだ数年。だが、部員は今や30人を超え、同大会では強豪校を破っての優勝、「とっても嬉しかったですね。引退してしまうと、みんなでわいわいしていたのが懐かしいです。安心感があるというか、家族みたいな存在ですね」と君塚さん。「テレビでフリークライミングに挑戦している人を見るとコースを考えたり、自分はもっとイケるんじゃないかなと思ってしまう」と続けると、「分かる!」と他2人も興奮。
 ここまで彼らを引き付けるのは、『登りきった時の達成感』と『誰にも行けなかったコースをクリアできた時の優越感』だという。顧問の高橋奈保子さんは、「部活動というと、顧問が激を飛ばして生徒が必死にくらいつくというイメージが強いけれど、場合によっては子ども達から負けて悔しいという気持ちを消してしまうこともあります。同校のフリークライミング部の生徒たちは、みんな自分たちでメニューを考え、対策を練って努力をする。本当にすごいです」と驚きを隠さない。
 大会では、ある程度コースに目印がつけられていて、各校が同じものを競う。最近では、順位を付けないなど子ども達に競争意識を持たせないような取り組みが行われることもあるが、それは『自分で成長しようとする力』を奪っているのかもしれない。「フリークライミングを始めて、僕は色んな方面で変われました。諦めがちな性格だったけれど、自分で目標を掲げるようになったんです。少し生きていく力が身についたのかも」と渡辺さんは控えめながらも、しっかりと自己を認めた。
 また、池田さんはフリークライミングを通して、さらに大きな目標を定めている。「今、フリークライミングを指導できる先生ってほとんどいないんです。僕は体育教師を目指しています。いつかこの長生高校に戻ってきて、子ども達にフリークライミングを教えてみたいです」と語る。そして、「うまくいかないと落ち込むこともあったけれど、へこむ時間がもったいない。出来ることを、最大限やればいい」とさらに強くいうのは、高みへのぼるという興奮からくるものなのか。「大切なのは、大会の2週間前からやるのではなく、4カ月とかかなり前の段階からコツコツ努力を続けることです」と話してくれた同メンバーたち。その努力と結果に、アッパレ!つい目をそらしてしまう自分の弱さと向き合ったからこそ、さらに強くなれるのだということを、彼らが身をもって教えてくれた気がした。

問合せ 長生高校
TEL 0475・22・3378

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