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いろんなことを教えてくれる森遊び 発見と不思議がいっぱい
- 2017/1/1
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森のようちえん いすみっこ
『森のようちえんいすみっこ』(以下いすみっこと表記)は自然体験活動を主とした自主保育サークル。現在20組の親子が屋外での自由遊びを目的に、週1度集まる。
活動場所は主にいすみ市桑田の『桑田里山の会』が管理しているフィールドと日在の畑付きの古民家。雨が降った時は『千葉県いすみ環境と文化のさとセンター』など、無料か低額で借りられる施設を利用している。
「長男が生まれ、保育園や幼稚園に通う前の子どもの行き場が欲しい。もっと自然の中で遊ぶ機会を増やしたい。ママさん達との交流の場も欲しいと思っていたところ、以前いすみ市で自主保育をされていた方と知り合い、自分もやってみようかと。それで2年前『森のようちえん』の全国ネットワークが主催する1泊2日の指導者養成講座に6カ月の息子を連れて参加しました」と代表の御田亜季子さん(37)。
この森のようちえんとは1950年代、デンマークで「子どもに幼いころから自然と触れ合う機会を与え、のびのびと遊ばせたい」との願いを持つ1人の母親が毎日子どもを連れて森に出かけたのが始まりと言われ、その後、北欧やドイツでも自然の中での自主保育が実践されるようになった。日本国内でも地域の自然環境を利用して活動が広まったが、統一された規定などは無く、それぞれ運営者の独自のスタイルで活動できるのが特色。一般的な幼稚園との大きな違いは、大人が管理設定した環境ではなく、野外活動が主だということ。時には危険も含む野外の様々な環境や変化する天候の中、好奇心を持ち、子どもが自主的に遊ぶ事で、心と体のバランスがとれた発育を促し、豊かな感性や自分で考える力を養うというもの。いすみっこでも子ども達が自然の中での体験を通して五感を磨くことともに、体力の向上や運動機能の発達を促進させる。様々な自然事象や動植物に出会い、自然との調和を大切にする優しい心を育てる。畑仕事を通して食物への関心を養う。季節の手仕事や行事を通して伝統や地域文化への愛情を育むといったものを理念としてかかげている。そして、こういった活動から人間関係を学ぶ事も重要だと考えている。
一日のスケジュールは定時に現地に集合し、順番に自分の名前を言い挨拶する朝の歌を歌う。その後は森での散策や自由遊び、時には畑仕事。大まかな予定は組むが、子ども達が自分たちで遊びを見つけるのを親が見守る。取材当日、子ども達は里山散策の途中で見つけた真っ赤な冬いちごをほおばり、垂れ下がった蔓性の木の枝を見つければよじ登ったりと大忙し。一緒に歩く母親たちも木の実を見つけたり、花を摘んだりと楽しそうだった。その後、絵本の読み聞かせ、手遊び歌、そして帰りの歌を歌い現地解散となる。
各自お弁当は持参するが、寒い季節は持ち寄りの材料でみそ汁を作る。「家にあった具材を持ってくるので、どんなみそ汁になるかは当日のお楽しみ。今日は先週、古民家の畑で収穫した里芋の他、サツマイモ、カボチャ、ニンジン、お餅などが入りました。真冬でもブルーシートを敷き外で食べます。子どもも家にいるときより食欲が出るようで、たくさん食べてくれます」と参加者。
野外活動の場所の桑田のフィールドは田んぼや山林、竹林、堰など昔ながらの里山の姿が色濃く残り、子ども達を遊ばせるには絶好の場所。桑田里山の会の定期的な活動と減農薬化で絶滅危惧種のニホンアカガエルやトウキョウサンショウウオなどを含む多くの生き物が生息している地域で、敷地内には炭焼き小屋やビオトープも造られ、四季折々の風情が楽しめる。しかし、管理されているといっても自然の環境は危険も多く、天候などにも影響を受けやすい。いすみっこでは自然に合わせて自分を変化させる場ととらえ、暑さ寒さには衣服を調整することで対応できることを子ども達に理解させている。
また野外で子ども達が遊びを見つけ出し、自分の力量で木登りや急斜面の昇り降りなどの行動を取らせ、怖さで躊躇するのも子ども自身の裁量に任せているという。「子どもの自主性を尊重していますが、危険な行為はきちんと注意します。子どもはたくさんの失敗をしますが、これも成長過程の必要な要素の一つ。子ども同士の喧嘩も、ある程度は介入しないで見ているなど、子どもを信じて待つことが大切だと思っています」
運営メンバーとして代表の他、企画と会計と畑担当がいるが、代表以外は半年で交代する。活動時の様子を文章にする広報係は、当日集まった中でじゃんけんで決めるというゆるさ。お互い負担にならないようにとの配慮からだ。活動報告は写真とともにブログとフェイスブックに掲載しているので、休んだメンバーも内容が分かるようになっている。
年間のイベントとして春はお花見や野菜づくり、野草料理、田植え、梅ジュース作り。夏は野菜の収穫に地引き網体験や流しそうめん。秋は拾った木の実で小物作りや焼き芋、稲刈り、畑の収穫祭。冬はクリスマス会に餅つき、豆まき、醤油や味噌仕込みなど多肢にわたっている。特に味噌作りは市内にある施設を使い、1日がかりで各家庭の1年分を仕込んでいる。また月ごとに子どもの誕生を祝うため、ケーキに見立てた木の切り株に野山で摘んできた草花を飾る。季節によって植物が変わるので、毎回違った趣のケーキが出来上がるという。
「ハイハイしていた子どもが、おしゃべりができるようになり、子ども同士で遊び、野外でたくましく、ぐんぐん山を登る姿などを見ると成長を感じます。子どもが小さい頃からずっと一緒に活動していたので、お互いの気心も知れて余計な気を使わないのが楽です。週に1度の活動ですが、親の体調不良や出産の直後などには子どもを預かってもらったり、助け合えるママ友が出来たのもありがたいです」
体験での参加は問い合わせの上いつでも出来るが、毎年1月にフェイスブックなどで新規の入会者を募集し、4月から活動する。森に対するキャパシティや目が届かない人数になると危険だからという理由で、定員は子ども30名。原則いすみ市に住む親子が対象になる。近隣の市町村からの入会の申し込みがあれば、それぞれ自分たちが住む地域で自主保育の活動ができるよう講習会を開いている。これまで御宿・勝浦地域、大多喜、一宮など5カ所の立ち上げを援助してきたという。
参加者の殆どが移住者の親子。ともすれば母親が孤立無援になりやすい境遇だが、いすみっこの活動に参加することで、孤独な子育てとは無縁のようだ。父親の参加もOKとのこと。
・活動日 第1・3(火)(野外活動) 第2・4(木)(屋内活動)
・活動時間 10時30分~14時
・対象年齢 6カ月~5歳
・入会金 1000円
・年会費 1200円
・年間保険料 大人800円、子ども800円
・参加費 古民家使用の場合200円
・メール/isumicco@gmail.com
・ブログ/isumicco.blogspot.com
・フェイスブック/facebook.com/isumicco