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楽しさも寂しさも歌って分かち合う
- 2018/1/1
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さわやか歌謡クラブ
茂原市総合市民センターの集会室で第2・3・4金曜日の13時から15時45分までカラオケを歌う『さわやか歌謡クラブ』。まず「あーえーいーおーうー」と発声練習から行う。「腹筋を使います。あ行が一番大切ですよ。カラオケを歌えば日本語も忘れないし、血圧も安定します。寝る前に一曲歌うと朝の血圧が下がりますよ。口の周りの小じわも減ります」と楽しく指導するのは講師の作曲家、山内兼王さん(71)。
「さあ、これで脳がリセットされましたね。みなさんの目が輝いてきました。そしてそれは僕のお陰と脳にインプットして下さい」と笑いを誘うと会場からは「先生のお陰です」と聞こえ、さらに大きな笑いが起きる。「ここでは先生だけど、家では小間使いです」とユーモアを交えたテンポの良い話術で集まった会員を巻き込み、歌に入る。
最初は山内さん作曲の『めでてぇな』。作詞は2015年に島津亜矢が歌う『独楽』で日本作詞大賞を受賞した九仁京介さん、編曲は千葉テレビ『カラオケ大賞21』の審査員長井戸のりおさん。「グッと呑んで パッとやって 心をいやす」、「めでてぇめでてぇな めでてぇな」と景気のよい曲を十数人ずつ前に出て4本のマイクを使って交代しながら歌う。次は大網白里市在住の歌手山内あや乃さんの新曲の『輪廻転生』。「少しの不幸を嘆かない」、「苦労は宝」と母親が教えてくれたという歌詞をかみしめるように歌い込む。音の強弱や伸ばすところを歌詞カードにメモする熱心な女性もいた。
お茶やお菓子でおしゃべりをする休憩時間をはさんで数曲歌い、最後に山内さんが注意点をあげる。「「りーんね」ではなく「りんねー」。「ん」で口を閉じ、鼻に響かせて」、「馬鹿でいいのさ こころがあれば」は「こころの2個目の、こは下がります。音階を上げるのは楽だけど、下げるのは難しい。腹筋の力で声にブレーキをかけてください」との言葉に会員たちは繰り返し声を出す。「今日は僕が70歳になったのを記念して作った曲をやりましたが、いつも僕の曲ばかりではありません」。普段は『夢の花を咲かそう』、『命の春』、『こころ』、『女の日本海』、『お前がいたから俺がいた』なども歌うそうだ。
山内さんは「健康寿命を延ばし、元気で亡くなるのが会の目的。僕の生きがいにもなっています。ただのカラオケの先生と生徒という雑な関係ではありません。皆さんが安らげるように、心の触れ合いを大切にしていきたいです」と熱心に教えている。「会員には踊りができる人もいるから、福祉施設などに出かけて歌い、地域の役にも立ちたいですね」と話す。
会員は60代から90代までの57人。同センターの改修で活動場所が一時変わったために減ったが、最盛期は120人近くもいたという。入会して2年の78歳の女性は「いつも覚えやすい曲ばかりです」と楽しそう。20年通い続ける87歳の男性は「みなさんに会って語り合うのが楽しみ。よく飽きませんでした」と振り返る。「ここへ来るまでは家に引きこもってばかりでした」、「夫を亡くし、家で声を出す事がなくなりました」と日ごろの寂しさを打ち明ける会員もいる。
33年前から続く長寿サークルなので所属歴は「10年で短い方」だとか。初の女性会長の森屋圭子さんも「発声練習、歌、お茶とおしゃべりが楽しくて20年経ちました」と笑顔で話す。「開設35周年まで待ちきれず、皆さんと私が元気なうちにと、昨年1月に33周年記念の発表会を開きました」。お金をかけないように横断幕、自宅から持ってきた花などで会場を飾った、初めての周年記念だった。「カラオケを通じて、親睦を深め、和を大切にし、寂しさ、悲しさを忘れ、健康増進につなげる高齢者のサークルです。立ち上げてくれた方への感謝の気持ちを表したく、記念品も作りました。その思いを引き継ぎたいです」と森屋さんは話した。
入会金2千円、会費3カ月2千円。毎年、同センターの9月の芸能発表会と2月のふれあい祭りで舞台に立つ機会もある。今年は2月17日、18日に開催される『ふれあい祭り』(入場無料)の2日目に出場予定。
問合せ 森屋さん
TEL 0475・23・4620