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オリーブを地域の特産品に!東金市で官民一体の取り組み【東金市】
- 2020/7/16
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- 東金市
東金市ではオリーブの産地化を目指し、市で公募した43軒の農家が3000本のオリーブの木を栽培している。昨年秋には台風により、収穫を控えていたほとんどの実が落ち、倒木の被害にもあった。無事に残った約40キロの果実はエキストラバージンオリーブオイル『東金一番搾り』となり、今年4月、『道の駅みのりの郷東金』で10本が限定販売され、あっという間に完売した。
収穫までの長い道のり
東金の温暖な気候はオリーブ栽培に適しているといわれる。市農政課の根本農林振興係長はオリーブ産地化への取り組みについて、「平成25年に試験的に始まり、平成26年~30年の5年間は、1本約3000円の苗木購入額の2分の1を市が負担する補助金制度を設けました。平成26年の約300本を始めに、総数4000本が植樹されましたが、現在は3000本が順調に育っています。また休耕地の活用にも期待ができます」と、説明する。
植木の生産・販売業を営む宮山太一さんは、東金市オリーブ農家の第一人者的存在。園芸種としてオリーブの木の取り扱い経験はあったものの、オリーブ栽培は苦難の連続だったという。「オリーブアナアキゾウムシは、オリーブの木に活動中継続して卵を産み付けるため、同時期に防虫をしなければなりませんが、当初は情報も不十分で対策が徹底されませんでした。台風にしても防風対策をどうするか、初めての事ばかりで試行錯誤の繰り返しでした」。さらに、「苗木を植えてから実がなるまでの5年間、無収入を乗り切る気力がなければ、努力は実を結びません」と話す。
市が主催する講習では、関東で東金に先駆けてオリーブ栽培が盛んな神奈川県二宮町から講師を招いて、剪定などの実践的な指導を受けている。また、日本一のオリーブ産地・香川県小豆島へも有志が何度も研修に訪れている。時に悔しい思いをしながら研究を重ね、オリーブの木の成長と共に、オリーブ農家も一歩一歩あゆみを進めてきた。しかし、そこへ昨秋の台風の襲来があった。初めの植樹から6年目を迎え、いよいよ木が実をつけ初める年と、気温と降水量の好条件が整った年が重なり、大量の収穫に期待が高まる中での被害だった。当事者は一様に肩を落とした。
関係者一丸となって
オリーブの実の取り入れは、手もぎのため大変な労力がいる。被害を免れ『東金一番搾り』となった40キロの実は、4人で丸一日かけて収穫し、搾油のために小豆島へ送られた。通常、果実の総量からとれる油の量の割合(搾油率)は13~15%だが、今回は収穫時期が諸事情により早かったこともあり、5%となった。「オリーブの実が十分に熟し、一番のタイミングで収穫すること。その実を酸化が進まないうちに迅速に輸送すること。これらもこれからの課題です。収穫が安定すれば搾油機を購入し、市内に加工所を設けることも視野に入れています」と、宮山さん。出来上がったオイルについては、「色は深いグリーンで、サラダにかけると風味がよく絶品でした」と、顔をほころばせる。
商品の販売拠点となる『道の駅みのりの郷東金』は、市の施策に協力し、販売者の支援・販路拡大などの役割を担っている。農家と連携しながら幅広い商品開発を目指し、現在注目しているのはオリーブの葉を利用したオリーブ茶だ。他にも、オリーブの実の新漬け(塩漬け)や化粧品などの品があげられている。『東金一番搾り』のラベルデザインを担当したのは、城西国際大学メディア学部4年生の石澤歩さん。「地域に貢献するために考えました。商品を手にした人がすぐわかるように、すっきりとしたデザインにしました」と、若い力も東金産オリーブのブランド化推進に一役買っている。
農政課・根本さんは今後の展望として、「オリーブ農家の組合を立ち上げて、組織化を図りたい。さらなる研修の充実、土地に合った品種の研究、収益性の高い商品の開発など、行政としてバックアップしていきたい」と、語る。
オリーブは今年5月にも小さく白い可憐な花を咲かせた。台風によるダメ―ジのためか花の付きは昨年ほどではないとのことだが、11月の収穫に向けて、関係者はオリーブ作りにいっそう情熱を傾けている。
問合せ:東金市農政課
TEL.0475・50・1137
問合せ:道の駅みのりの郷東金
TEL.0475・53・3615
・ホームページ https://minorinosato-togane.com