この前、「the biggest little farm」という映画を観ました。ニューヨークに住む共働きの若いカップルが、クラウドファンディングや友人達の力を借りて、売りに出されていた荒廃した牧場に移り住み、長年の夢であったありとあらゆる種類の果樹や野菜、家畜を育て、様々な困難や局面を迎えながら奮闘するというストーリーです。現代の農業はアメリカも日本と同様、単核経営すなわち1つの作物だけを大量に作り販売する方式が大半なようです。最初は誰もがこの様な昔ながらの農法にチャレンジしようとする若いカップルを嘲笑い、必ず失敗するだろうと予想し忠告します。
 確かにこの挑戦は現代では無謀とも思えるかも知れません。次から次へとあらゆる問題が起こり、それを解決すると今度は別のまた新たな問題が発生するという繰り返しの連続です。果樹を育てればその殆どが虫や鳥達に食べられてしまいます。ニワトリを育てれば野生のコヨーテ達に襲われてその多くが殺されてしまいます。その若いカップルは次第に精神的にも肉体的にも疲労困憊していきます。ただ、彼らを指導する生態のスペシャリストだけが、「生き物すべてに意義があり、役割があります。それが上手く噛み合い機能するまでの少なくとも7年間は辛抱しなさい。そうすれば全てが自然に解決するでしょう」と告げます。
 そしてその7年が過ぎた日、牧場には家畜だけでなく、沢山の野生動物や虫や鳥が移り住み、多様な生態系のバランスが出来上がっていました。ニワトリを襲っていたコヨーテ達もその牧場の手助けの一部となり、アヒル達は樹木に発生した大量のカタツムリを餌にし始めます。忘れてはいけないのは、人間もその生態系のほんの一部であると認識する事です。
 さて、先日近所を散歩中、不思議な薔薇の形をした松ぼっくりが沢山地面に落ちているのに気づきました。さっそく家に持ち帰ってリースを作り、入口のドアに飾ってみました。

 

長谷川良二

長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…
  2. 【写真】本須賀海岸(当写真は特別な許可を得て撮影しています)  マリンアクティビティのイメージが強い九十九里エリア。成田国…
  3.  マザー牧場(富津市)では、2~3月が羊の出産シーズン。今年は約20頭が出産。第1号は2月22日に生まれた品種「サファーク」の女の子。黒い顔…
  4.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月6日(木)~6月11日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける方…
  5.  新芽が出始めた春の里山を散策してみた。葉の色や形、大きさなど種類の多さが感じられる。葉の多様性といったところか。  そんな中で高い木の枝…
  6. 【写真】チバニアンガイドの皆さん  2020年1月、市原市田淵の地磁気逆転層を含む地層『千葉セクション』がGSSP(地質年…
  7.  前回、近い将来起こるであろう世界的な食糧問題について書きましたが、多くの学者は、私達が生き延びるには人間が何万年と育んできた古来からの農法…
  8. 【写真】『音楽堂in市原《私の十八番》ガラコンサート』にて。ヴァィオリン・川井郁子さん、ピアノ・熊本マリさん  市原市市制…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育て…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る