西アフリカからの熱い風
- 2013/3/8
- 市原版
西アフリカからの熱い風
日本から1万3千キロ以上離れた西アフリカ。ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)に属する10カ国の大使館の協力を得て、袖ケ浦市国際交流協会が『西アフリカフェスティバルin袖ケ浦』を開催した。昨年11月25日、会場の平川公民館を訪れたのは5千人。野里子ども会祭り太鼓の出迎えでスタートしたイベントは色鮮やかな模様の民族衣装を着たアフリカ出身者や異文化に触れたいという日本人の熱気で溢れた。
祭り用のマスク・刺繍や染めの施された布などの手工芸品、カカオやシアーバターなど特産品を展示したのは各国ブース。食事コーナーではラム肉の煮込み料理、揚げバナナ、ハイビスカスティなどの料理が並び、味や材料を尋ねる客に大使館員たちが流暢な日本語で説明した。「落花生の大きさは日本の2分の1」と来場者と笑顔で話したマリ共和国大使館の女性は「自国の文化を知ってもらえる」と嬉しそう。
茂原在住の若い女性2人は「アフリカの大地の匂いが大好き」と来場した。木更津の小学生姉妹は各国の産業や人口をノートにメモ。東京から来たガーナ共和国留学生は「リベリア共和国は自由という意味があると初めて知った」と他国の展示を見て回った。
舞台では大使夫妻などがモデルとなりファッションショー。アフリカの自然や動物の大胆な柄のドレスを紹介した。トークショー出演はギニア共和国の元外交官でタレントのオスマン・サンコンさんと袖ケ浦市長。ボーイスカウトの子どもたちの質問にサンコンさんは「ギニアは大家族。水を飲んだら大地に感謝する」と日本との違いなどに答え、「肌の色は違っても同じ人間、お互いを知ることが大切」と伝えた。会場で写真撮影やサインに応じたのはタレントのベナン共和国出身のゾマホンさんやセネガル共和国出身のウセイヌさん。ブルキナファソのブース前で日本人が打楽器ジャンベ演奏をはじめるとその場にいたアフリカ人男性が遠距離通信に使うトーキングドラムを持って即興でセッション参加。たちまち周囲に人だかりができた。
視聴覚室で映像とともに参加国について解説したのは海外青年協力隊員たち。茶道、書道などの日本文化紹介も行われ、公民館前の広場では木更津総合高校和太鼓クラブ、袖ヶ浦高校吹奏楽部の演奏が花を添えた。午後になり、ギニア出身のニャマ・カンテさんのダンスグループが到着するとお祭り気分は最高潮。コートジボワール共和国の女性は「千葉県でのイベントは初開催だと思う。袖ケ浦の人に温かく迎えられた」と人懐こく笑った。
フェスティバル開催のきっかけは同協会の開く日本語教室にナイジェリア連邦共和国出身のガブリエルさん(木更津在住)が入ったから。協会員たちが西アフリカに興味を持ち親交を深めた。「西アフリカ諸国のことをほとんど知らなかったけれど、明るくおおらかな伝統文化に惹き付けられた。天真爛漫で心が広い人たち。成功してよかった」と終了後ほっとした表情で話したのはボランティアスタッフたち。