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漢方薬にも使われるセンニンソウ

 8月某日の炎天下、緑生い茂る里山に植物観察に行った。草刈りされている場所も多かったが、夏に花を咲かせる植物のいくつかに出会うことができた。その中から今回はセンニンソウについて書きたい。
 センニンソウはキンボウゲ科センニンソウ属のつる植物で日当たりの良い場所を好み、他の草や樹木にからみついたり地面を這うようにして体を支える。葉は、丸みがある5枚の子葉を持つ羽状複葉になり、節ごとに対生する。8月から9月にかけて2~3センチの小さな白い花を多数つける。十字につく花弁のような萼が特徴的であるが、実際は花弁を持たない植物である。キンボウゲ科の植物は花弁が目立たないものが多い。
 果実には白い羽毛状の毛があり、それを仙人のひげや白髪に見立てこの名が付けられたそうだ。かわいらしい見た目とやさしそうな名前だが、葉や茎には皮膚にかぶれを起こす毒がある。漢方薬として利尿や鎮痛に用いることもあるが、自生しているセンニンソウを見つけてもむやみに触らない方が良い。
 今回は稲刈りをまじかに控えた里山を訪れた。田んぼには動物の侵入を防ぐためか柵が張り巡らされていて、農家さんの苦労を垣間見ることができた。観察に行った日はとても暑かったが、強い日差しのなか緑が輝いていて、かわいらしい白い花を見ているとさわやかな気分になった。
 普段エアコンの効いた室内で過ごすことが多い私だが、たまには自然あふれる里山で汗をかくことも悪くないと思った。これからも自然観察を続けていきたい。

ナチュラリストネット/岡島 亜純

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