岩塩で誰も表現したことのない世界を

岩塩で誰も表現したことのない世界を
岩塩アート作家 日暮勇一さん

 12月15日(日)まで、市原市朝生原にあるアートハウスあそうばらの谷では『ヒグラシユウイチ 記憶/Memory』展が開催されている。作家の日暮勇一さん(41)は、岩塩を使用した彫刻作品を制作している。「岩塩とは、地層や塩湖より産出される岩のような形状の食塩の結晶体。東京造形大学を卒業してからは石彫に取り組んでいたが、先輩は大勢いる。自身のレベルを上げても先輩方と差が縮まらないことがもどかしく、いっそ全く別の物を作り上げることに挑戦しようと思った」と日暮さんは彫刻に岩塩を使用したきっかけを話す。
「それまでは千葉県展に出したり、石と紙でアートを生み出そうと模索したが納得がいかない。石のような材質で紙のように光らせることができる岩塩に、ピンときた」という。岩塩は成分によってピンクや白、青と様々な色合いを持つ。素材は石と違って柔らかく壊れやすい。制作はカッターやデザインナイフ、彫刻刀で削ることが主だが、ほとんど一発勝負。
「最新作は銃シリーズで形を忠実に再現する緻密な作業。だが、抽象的な作品は原石そのものに寄り添い、イメージしながらの制作と同時進行になる」と日暮さん。そして、「私は常に悪戦苦闘。石と岩塩の作品の違いは本当にあるのか。岩塩でどう表現するのかと悩み続けている。個展を開いたら会場に海の音を流してみたり、作品を海水に浸してみたりと工夫してみる。銃は元々好きなので作品に取り入れたが、岩塩は溶けるもの、溶けることをマイナスに捉えがちだがプラスに考えてみる。ならば、この世でいっそ溶けてなくなればいいものを作ってみよう。そんな意味を込めて銃を作ったというのもあるかもしれない」と続け、思慮深げに作品を見つめた。
 ライトに照らされて輝く銃、銃弾、手榴弾は本物かと見まがうほどの細かさで削られ、思わず目を見張ってしまう。対照的に、和室に飾られた炎をイメージしたというピンクの岩塩は、数十個のブロックでつなぎ合わされている。暗闇にぼんやりと浮かび上がるように当たりを照らし、見ているだけで癒される気分に。岩塩の制作に取り組んでから7年が過ぎる。原石の大きさも掌サイズから50センチを超えるものまで様々なものを扱ってきた。
 日暮さんは「今後は銃シリーズを増やしていきたい。また、岩塩を個展にセットする前のアクリルを使って映像作品も作ってみたい。アートハウスあそうばらの谷は養老川のほとりに佇む築150年の古民家で行っているので、普通の美術画廊ではできないような展示の仕方。囲炉裏に作品を置き民家と融合させていてとても面白い。これを機会に、岩塩を含めてさらに挑戦できることを探していきたい」と語った。
 

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  丘陵地と広がる水田は、緑も水も豊かな房総の里山を象徴する風景。いすみ市万木にある千葉県いすみ環境と文化のさとは、この身近な里山の自然や長年…
  2.  日本ではあまり浸透していない様ですが、欧米ではヴィーガン(完全菜食主義・注1)レストランがたくさんあります。さらに殆どの店がヴィーガンメニ…
  3.  京成千葉寺駅から徒歩7分、千葉市ハーモニープラザ内に今年新たにコミュニティセンターができました。当初は4月オープン予定でしたが、新型コロナ…
  4. [caption id="attachment_36983" align="alignright" width="300"] 黄縮緬葉瑠璃筒…
  5.  市原市国分寺台のいちはら市民ネットワークギャラリーで、小田慶子さんによる『バングラデシュと日本の手仕事展』が今月末まで開催されている。ハー…
  6.  本協会は昭和50年(1975年)設立、ピーク時の傘下チームは60を数えましたが、昨今の少子化により、現在は17チームで活動しています。三和…
  7.  東金市ではオリーブの産地化を目指し、市で公募した43軒の農家が3000本のオリーブの木を栽培している。昨年秋には台風により、収穫を控えてい…
  8.  年数回、様々な分野の講師が招かれる、袖ケ浦市教育委員会主催『市民三学大学講座』。今年2月には、第38期第4回が生涯学習推進大会の記念講演会…
  9.  緊急事態宣言が解除され、詐欺の犯人など動きが活発になると予想されています。事例を参照に、注意していきましょう。 ◇警察官を騙る ・XX…
  10.  長柄町との境・市原市金剛地にあるブルーベリーの里・ふるさとファーム。5面の畑で180アール・3000株以上が植えられた、県内最大級のブルー…

ピックアップ記事

  1.  丘陵地と広がる水田は、緑も水も豊かな房総の里山を象徴する風景。いすみ市万木にある千葉県いすみ環境と文化のさとは、この身近な里山の自然や長年…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る