季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

おうい雲よ/ゆうゆうと/馬鹿にのんきさうぢゃないか/どこまでゆくんだ/ずっと磐城平の方までゆくんか 山村暮鳥の詩「雲」を私が初めて読んだのは中学の教科書だ。のんびり明るい感じが好きだった▼今度、暮鳥詩集を読み返し、また以前は知らなかった暮鳥の人生を辿った。明治から大正期にかけて文筆で名を成した暮鳥だが、その多くは貧困と病に苦しむ、わずか四十年の生涯だった▼初期には前衛的な詩を書いた暮鳥も晩年は枯淡で境涯的な作風に変わった。枯淡とは侘、寂、諦念に通う境地である▼さて、晩年の作「雲」は枯淡ではあるが、何度読んでも明るく屈託がない。雲は今も暮鳥の心を乗せたまま大空をゆうゆうと漂っている。

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