房総往来 

紅葉を追って
山里吾郎

 今年の紅葉前線もいよいよ最終盤。10月の冷え込みで全国的には早いスタートとなったが、11月の好天で例年並みに戻った。「関東で一番遅い紅葉」で知られる養老渓谷はこの小欄が出るころはもう最後か?▼そんな身近な紅葉を待ち切れなかったわけでもないが、先月20日過ぎに栃木県は鬼怒川温泉へ出かけた。今回は孫連れのもみじ狩りと歴史探訪を兼ねた日光紀行▼週末を利用した2日間の慌ただしい旅。「なるべく渋滞は避けたい」と5時前には市原の自宅を出発、船橋で息子の運転する車に乗り換え、一路日光を目指した。2人の孫は休憩地のドライブインに着くまでうたたね状態。避けきれない事故渋滞こそあったが、10時過ぎには鬼怒川の清流と対面を果たした▼初日はそのまま孫孝行を優先して日光江戸村へ。予想以上の寒さに震えながら(薄着を後悔)も江戸情緒たっぷりの街並みを駕籠に乗り、途中手裏剣を投げるなど忍者体験を楽しむ。入るとなかなか出られないからくり仕掛けの巨大迷路も孫の機転で無事すり抜けた▼その足で鬼怒川の渓流沿いに広がる遊歩道を散策。時期的には若干遅かったようだが、夕焼けに照らされた両岸の岩山は赤・黄の『紅葉色』に映えまさに絶景。全長140m、揺れる「鬼怒楯岩大吊橋」も高所恐怖症を物ともせず渡り切った▼帰路は修学旅行よろしく日光東照宮を見学。荘厳な社殿、三猿・眠り猫など繊細な江戸文化の粋に再会、大満足の駆け足旅を終えた。ところでこの項を書き終えた11月末、多忙を何とかやりくりして養老渓谷の紅葉を訪ねたいと思っている。

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