季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

日向ぼっこをしていたら、亡くなって久しい父の句を思い出した。《日向ぼこ身じろぎだけが音である》これは、まだ若かった父が、当時の俳句界の新しい潮流に乗っての口語調の作だ▼私の手元に父の遺した毛筆書きの句集がある。百九十二句収められているが、今の私から見てもなかなかの出来ばえだ。▼私も俳句に熱中して長い。が、父に感化されたのではない。つまらないことで、私は十八歳の時、父といさかい、家をとび出したからだ。以後、断絶したわけではなく、父の最晩年には同居し、介護もした。その間も俳句の話しはしなかった▼そんな親子であったが、今にして思えば、俳句の血脈がどこかでつながり、否応なく分け合っていたのは確かだ。

●松下佳紀
 昭和15年市川市生。東洋美術夜間グラフィックデザイン科卒。昭和39年新宿画廊で第1回個展。6カ月間の自転車日本1周スケッチ旅行の後、各地で個展、2人展、グループ展などを開催。イラストレーション、子どもの絵本、オリジナル俳画、陶芸などを手がける画家。

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