房総カフェカルチャーをプロデュースしナビゲートする

フリーライター 地域おこし協力隊 沼尻亙司さん

 カフェが一過性のブームではなく、文化として定着した現在。書店では全国各地のカフェガイド本が並び、雑誌にはカフェ紹介のページやコーナーが定番のように盛り込まれ、インターネットでもカフェ関連記事は数多い。
 そんななか、異彩を放つ存在のカフェ本が注目を集めている。今年8月に出版された『千葉の海カフェ』(書肆侃侃房)だ。単に必要事項であるメニューや店のこだわりを紹介しているだけでなく、「カフェを通して地域の魅力を伝えたい」と、カフェのロケーションからオーナーや店の雰囲気を独自の表現で綴り、ページを繰るごとに添えられた写真からイメージが喚起され、展開するカフェ物語にいつのまにか引き込まれてしまう。
 著者の沼尻亙司さん(34)は船橋市で生まれ育ち、地元の高校を卒業すると群馬県にある高崎経済大学へ進んだ。実家から新幹線通学した大学では地域政策学部で地域政策学を学び、ゼミで町おこしに関わり取材活動を経験した。「マニアックな性格」と自己分析する沼尻さんは、高校時代から町の散策をしては喫茶店に立ち寄り、大学生になってからは通学で利用する武蔵野線や高崎線各駅に下車し、「飲食店や路地裏のパン屋さん、和菓子屋さんなどを見つけると入ってみた」。とことん、タウンウオッチングを愉しんだ。
 大学卒業後、旅行会社に就職し、北東北で2年ほどツアーの添乗員などの仕事をしたのち、「やはり愛着のある地元で、以前から関心のあった出版関係の仕事に就きたい」と木更津市に引っ越し、千葉県全域をカバーする地域情報紙『ぐるっと千葉』を発行する、ちばマガジンに入社。7年間在籍し企画・取材・撮影・執筆・紙面レイアウト等に従事した。学生時代から好きだったカフェ巡り。社会人になってからも、それは変わらず『ぐるっと千葉』ではカフェ特集を企画・担当し、県内の250軒以上のカフェや喫茶店を訪ねた。
 平日は仕事に追われ、休日は千葉県の祭りや美術館を「しっかり現場を見たい」と過ごすうち、より深く地域で生活し、働きたいと考えた沼尻さん「たまたま、都内で開催されていた移住・定住イベントで『地域おこし協力隊』(※総務省が平成21年度から取り組んでいる事業)』を知り、当時の自分の方向性と同じだと思い、勝浦市が募集をしたので今まで仕事を通じてお世話になった人たちに恩返しをしたいと、勝浦市の協力隊に応募したところ委嘱された」。勤めていた会社を辞めて独立、フリーライターとしてスタートを切った。2013年、勝浦市に移住。当初、市内の町なかに住んでいたが、昨年春から里山の集落、市野川の築150年の大きな古民家で暮らしている。
 平日は朝から夕方まで、地域おこし協力隊の仕事を、平日の夜と週末はライターとしての仕事をこなす日々。この2年半、協力隊の仕事として、市の観光案内所カッピービジターセンターで広報紙に地元の人の紹介記事を書いたり、ガイドブックやパンフレットの作製などを、他、地元のバンザイカフェとのヨガレッスンの開催、都内で開催される移住・定住イベントへの出店等を。「協力隊の仕事は最長でも3年間となっているので、自分がやめたあと、人材バンク的なものを残しておかなければ、という思いで今までやってきた」と話す。
 独立し『暮ラシカルデザイン編集室』を主宰して初めての著書となった『房総カフェ』。千葉市以南のカフェと喫茶店15店を紹介した。昨年、発行し初版は完売、増版した。そして、今夏、これまで訪ねた県内250店以上の中から選んだ房総の35店を紹介した『千葉の海カフェ』を発行。いずれも、取材・執筆・撮影・ブックデザインまで沼尻さんが手がけている。
「魅力あるカフェ」の条件とは、①環境②佇まい③料理を含めたおもてなし④地域、人とのつながり方、であると語り、「カフェは千差万別。私が記憶に残り再び行きたいと思うのは、ほど良い緊張感が漂うカフェ。感情移入して自分の感受性を基本に書いている」とも。
 沼尻さんの守備範囲はカフェだけに留まらない。「自分が興味を持ちアンテナを張っているのはカフェだけではない。カフェ本を出したが、伝えたいものが民芸やクラフトであれば、そうしたものをテーマに書くこともあるかもしれない」とのことだが、すでに多くの読者から「千葉市以北のカフェを紹介した本も出してほしい」と要望があり、沼尻さんは「カフェは房総半島に浮かぶ星々のように、その土地土地で独自の輝きを放っている。今後は、カフェカルチャーを織りなす食や暮らしの現場から、もっと掘り下げる必要があると思うので、印旛から北総台地にかけての一連の流れを捉えることが目標」と話す。次のカフェ本を楽しみにしたい。ちなみに、『千葉の海カフェ』は書店で販売している。『房総カフェ』はネットで購入できる。
http://classicaldesign.jimdo.com


【読者プレゼント】
 沼尻さんと書肆侃侃房様のご厚意で、著書2冊を各3名様にプレゼント。応募はハガキかファックス、メールで。住所、氏名、電話番号を書いて290-0022 市原市西広550 シティライフ「カフェ本プレゼント」係
TEL 0436(21)9142
メールアドレスは uchida@cl-shop.com

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