房総往来 潮風が運ぶ花々

山里 吾郎

暖冬が生み出した異常気象は自然のサイクルを著しく狂わせているようだ。海ではノリやワカメが全くの不漁。野菜も極端な豊作、不作の繰り返しで不安定な価格が続く。「花畑も早咲きに拍車が…」-そんな情報を耳に3月上旬、南房総に出掛けた▼「午後からは下り坂」。そんな天気予報を見越し午前8時過ぎ、館山道・市原から終点富浦へ。例年通り道の駅「琵琶倶楽部」に寄り、今が旬の海産物を求めた。だが、気になっていた茶褐色のワカメは店頭にはなく、直売店も「今年はなかなか入んねえなぁ」▼やむなく野辺に咲く満開の菜の花を楽しみながら館山市の海岸線へ。目的地は無霜地として知られる平砂浦のポピーの里・館山ファミリーパーク。『開花が早まっているならもう満開では…』の見込み通り、オレンジや黄色、白の鮮やかな花びらが潮風に揺れていた▼和名はヒナゲシ、中国の伝説に由来してグビジンソウ(虞美人草)の呼び名もある。ケシ科の植物には麻薬性を持つものもあるが、ここは早咲きで知られるアイスランドポピー。7500平方メートルの広大な花畑に100万本のポピーが咲き誇っている▼40年前にもなるだろうか。20代で館山支局長を任されたころ同パークが開園し、季節を先取りした“花摘み”の記事を何回となく書いた▼当時を思い出すようにカラフルな花々を撮影しながら10本100円の花摘みも楽しむ。ポピーのほか矢車草、ベニジュウム、ローズマリー、キンセンカなど春の花が満載。新たな名物に仕立て上げようとしているドラゴンフルーツのスムージーも試飲の価値がある。

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