女子3人組 盤上の戦いを制し全国大会へ

第32回 関東地区高等学校囲碁選手権大会 準優勝
県立京葉高等学校 囲碁部

 四角い盤上で人生訓や戦略が学べ、古くから戦国武将や将軍にも愛されてきた囲碁。高校入学後に碁を打ち始めた市原市の女子高校生3人が3月18日に大阪市で行われる第11回全国高等学校囲碁選抜大会に出場する。
 1月21日、水戸市で行われた第32回関東地区高等学校囲碁選手権大会で県立京葉高等学校(御園生文雄校長)囲碁部2年生3人が女子団体戦で準優勝した。部長の萩原幸穂(五井中学校出身)さんは「先生のおかげです」と喜びを話した。同校囲碁部は5年前に創部され、4年連続で関東大会に出場、3年ぶりに全国大会に出る。
 大会は部内のリーグ戦で強さの順に主将、副将、三将を決めて臨む。今回の大会では斎藤聖奈(五井中学校出身)さんが主将、長嶋優希(国分寺台中学校出身)さんが副将、萩原さんが三将として出場した。3人がそれぞれ相手校と一局ずつ対戦、4校と対戦した成績で勝敗が決まる。
 茨城県立那珂高等学校と対戦した1回戦は3人とも完勝した。0対3で負けた2回戦は今年の優勝校栃木県立栃木女子高等学校だった。3回戦の埼玉県立滑川総合高等学校には3対0で勝利、入賞をかけた4回戦の相手は千葉県大会で京葉高校が負けた優勝校東邦大付属東邦高等学校だった。
 東邦高校戦はまず三将の萩原さんが、途中で相手が負けを認める中押し勝ち。副将の長嶋さんは形勢互角のままわずか一目半で勝利した。顧問の飯塚章教諭は「持ち時間が残り1分を切る状態になりハラハラさせられました」と言うが、長嶋さんは「計算通りでした」と落ち着いていたらしい。長嶋さんは翌日の個人戦で5位入賞したが、対戦相手は個人戦で優勝するほどの実力だった。主将の斎藤さんの相手も県内で有名な強者、惜しくも僅差の半目負けをしたが、4回戦は2対1となり勝利。強豪校が多い関東地区で準優勝を勝ち取った。
 一手一手、ギリギリの攻防を戦う囲碁の1局の対戦時間は最長80分。それを4回戦う長丁場。生徒たちは「気付いたら時間が経っています。足りないくらい」というほど集中していた。終了すると優勝できなかった悔しさと喜びで大泣きしたという。それまでも対局のあとよく泣いたそうだが、「泣いて次はもっと強くなろうと思いました」と力をつけてきた。普段はライバル同士の3人も団体戦では同志。「みんなと一緒だったから落ち着いて取り組めました」
 高校入学まで囲碁に縁がなかった萩原さんは「先輩に誘われ、お菓子につられて部活を覗きに行きました」と笑う。「団体戦に出るには3人いないと」と言われ、友人2人を誘った。斎藤さんも長嶋さんも初心者。「入部して初めて囲碁の存在を知りました」と話す。一時ブームになった漫画『ヒカルの碁』も読んだことはなかった。顧問の飯塚教諭に石の置き方から教わるスタートだったという。
 飯塚教諭は「3人とも練習熱心でよく研究しています。認定は受けていませんが、有段者の実力はあります」と短期間でここまで成長したことに目を細める。学校の部活では1局対戦したあと、書籍などで布石の勉強をしているそうだ。そこまで夢中になれる囲碁の魅力について3人に聞くと「交互に打ち、相手の打った手によって戦局が変わります。先を読みながら、進める楽しさがあります」、「強いと思った相手でも倒せると嬉しいです」、「研究した手を実践して勝てると達成感があります」とそれぞれ語る。時には数人の部員を相手に同時対局するという飯塚教諭は「一人ひとり丁寧に楽しく指導しています」とのこと。
 2月1日、市職員やマスコミ関係者を前にした市長表敬訪問では「頬がピクピクしました」というほど緊張したそうだが、そんな様子は見せず終始笑顔だった3人。小出市原市長には「全員初心者で高校に入ってからここまで強くなったのは驚き。市内中学校出身者がこのような成績を収めて嬉しい。全国大会でも頑張って下さい」と激励された。
 3年前、全国大会に出場した時、同校は13位。はじめのうち3人は「1ケタの順位になりたい」と控えめに話していたが、最後は「やはり、優勝目指します」と力強く決意を語った。

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