ありがとう市東第二小

新しい未来へ

 3月18日、市東第二小学校の閉校記念式典が行われ、児童、保護者、歴代の教職員、卒業生や地域の関係者ら300名近くが出席した。同校は、大正元年(1912)に大正尋常小学校として開校されて以来104年続き、統廃合や町村合併を経て昭和38年、市原市立市東第二小学校となったが児童数減少のため閉校になった。
 高台にあるため、かつては木造校舎脇にあったつるべ井戸の水では足りず、「児童は100メートル近く離れた山の下の井戸まで水を汲みに行った」と高齢の卒業生らは思い出を語る。水汲みは、昭和32年に新たな井戸とポンプが設置されるまで続いたという。昭和41年、木造校舎を取り壊し、鉄筋校舎落成。給食室、プールや屋内運動場もしだいに整った。
 昭和46年からは地域の名前を織り込んだ民謡『市東もみすり歌』を歌い継いできた。昭和57年から自発性や創造性を育んでほしいとオペレッタ(小歌劇)に取り組み、「二小といえばオペレッタ」と言われるまでになった。その活動は郷土の伝統芸能を継承し、地域の世代間交流に生かされていると評価され平成3年、県のライトブルー少年賞を受賞した。同小は「親が子どもに残せるのは田畑より教育」という伝統が受け継がれる市東地区にある。こんにゃく作り、そば打ち、陶芸や三味線教室、農園栽培活動ほか、地域を巻きこんだ教育活動が盛んだった。平成13年には『花いっぱいコンクール』で環境大臣賞も受賞した。
 式典では閉校実行委員長の内山勝(すぐれ)さんが「これからも地域の子どもの笑顔を大切にしていきたい」と語り、小出譲治市長などの挨拶、校旗返納のあと、泉水義徳校長が「多くの方々の協力のもと子どもたちは豊かな学校生活を過ごせました。学校は時代の流れで変化しますが、人が忘れない限り、歴史は消えません」と話した。児童たちは「思い出を力に新しい未来へ胸を張って進みます」と元気よく出席者とともに最後の校歌を歌った。
 閉校記念碑除幕式のあと、68歳の男性は「親も通った学校。環境整備や記念イベントにもかかわってきました。寂しさがこみ上げます」と語り、20代の女性は「昨年、学校で同窓会をやりました。思い出をあげたらきりがありません」と校舎を眺めていた。中学2年生の女子二人は「新しい学校に行ってもMINT(みんなで、いきいき、なかよく、楽しく)の心で過ごし、先生や地域の人が温かく見守ってくれた二小の校舎を忘れないでほしい」と在校生にエールを送った。
 平成28年度、同小には奈良、高倉、東国吉、金剛地地区の13家庭児童20名が通っていた。3月16日に最後の卒業生4名を送り出し、4月、市東第一小学校に統合された。

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