モリアオガエル森の妖精

 新緑の中、山の尾根道を歩いていた時、伐採され木の上をふと見ると緑色の大きなモリアオガエルがいました。山中での想定外の出会いに感激しました。モリアオガエルは、普段は森林の林床や樹上などに生息していることから、めったに見ることができません。もし出会うことができたら、それは森の妖精に出会うようなものです。しかし、この時期は、繁殖のために池や水田、湿地に集まってくることから、容易に見ることができます。
 モリアオガエルは、アオガエル科のカエルで日本固有種。体長は、メスの方が大きく約6~9センチ、オスは約4~6センチ。体色は個体差があり、全身緑色のものや、緑色の地色に黒や暗褐色の斑点を持つものなどいます。鳴き声は、カラララ・カラララ・クックックッと、連続して鳴きます。千葉県レッドデーターブックでは、要保護生物(C)にランクされ、市原市内では南部の地域に生息しています。
 カエルのほとんどが水中で産卵しますが、モリアオガエルは、池や田んぼなどの水面に張り出した木の枝葉などに黄白色の泡状の卵を産みます。産卵の時にメス1頭に複数のオスが抱きつき、産んだ卵塊を後ろ足でかき回し、泡状となります。この卵塊には数百個の卵が含まれていて、約10日で孵化し、下の池などに落ちて、約1カ月でオタマジャクシからカエルの姿に変態して、森林の中の生活に入っていきます。
 モリアオガエルが生息するためには、産卵できる水辺環境だけでなく、生活場所となる森林環境も必要です。モリアオガエルが生息できる市原の豊かな自然環境を次世代へ承継されることを願います。

(ナチュラリストネット/時田良洋)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る