野菜は仕事半日、ながめ半日

 夏野菜を育てる季節となった4月26日、南総公民館主催講座『やさしい家庭菜園』が開かれた。講師は市原市農林業振興課の塚田涼夏さん。同館の会議室で、知っておくと野菜作りが楽しくなるポイントを「初心者向けです」と参加者39名に教えた。
 まずは土づくりについて。よく耕したら、野菜を植える場所をロープなどで区分けする。「栽培プランを立て、植えた時期や場所、肥料の量など記録簿に付けると便利です」。連作障害を防いだり、収穫期を知ったりできる。特にナス、ピーマン、トマト、豆類などは同じ土地に作り続けると生育不良になる。
 ジャガイモは弱酸性、ほうれん草はアルカリ性の土を好む。栽培する野菜によって石灰資材を調整して散布し、1~2週間たったら堆肥を混ぜる。その後与える3大肥料のうち窒素は葉、リン酸は実、カリウムは根に効果がある。肥料袋に書いてある3つの数字は左から窒素・リン酸・カリウムの含まれる割合のこと。8・1・6なら8%の窒素、1%のリン酸、6%のカリウムが含まれる。含有率が多いと1回あたりの施肥量は減るが、肥料当たりを起こす恐れもあるので要注意。塚田さんは「1㎡の畑に肥料一つかみといっても人によって手の大きさは違います。自分の手でどのぐらいになるか一度量っておくといいでしょう」と自分の手を見せた。
 地温上昇、乾燥や雑草、泥はねによる病害防止のためにマルチングも勧める。光るものを嫌うアブラムシの予防にはシルバーマルチを、プランターならアルミホイルを使うと効果があるそうだ。苗は深植えしない。「株元が少し出る程度。接ぎ木は継いだ箇所を土で覆うと、台木の植物が出ることがあります」など塚田さんが話すと熱心な参加者から時折小さな相槌が聞こえた。
 さらに、「農薬は必ず使用法をラベルで確認してほしい」と注意を促す。トマトに使えてミニトマトに使えない薬剤もある。万が一、地続きの農家の作物に登録の取れていない農薬が飛び、残留農薬が検出されてしまったら、出荷停止になることもあるからだ。追肥は、根の伸びた先、つまり葉先の下付近にまく。「ナスは花の中の雌しべが雄しべより伸びていないものは肥料が足りないとわかります」
 トマトは葉の付け根から出る脇芽を7~8㎝伸びたら指で摘み取り、主になる枝を1本伸ばす。「刃物やタバコを吸った指で摘み取ると病気になりやすいです」。摘んだ脇芽は挿し木できるそうだ。
 塚田さんは「栽培には観察が一番大切。畑に行けば行くほど野菜は元気に育ちます。野菜のことで悩んだら、いつでも相談してください」と講座を終えた。鶴舞で家庭菜園を借りている男性は「ほかの人にも教えたい」、泉台に住む女性は「庭の一角を畑にして自分なりに作ってみたい」と習った栽培法で育てた野菜の収穫に期待をしていた。

問合せ 農林業振興課
TEL 0436・36・4187(ヨイハナ)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る