【茂原市】日々の1コマが 大切な1枚に変わる 写真サークル 枝の会

 毎月第2日曜日に活動している写真サークル『枝の会』。会員の梅田久芳さん(72)が経営する金物店の一室で行われている同会には、森正子さん(81)、星野初枝さん(77)、古川基司さん(74)、長谷部まさ子さん(68)、常盤和枝さん(60)、畠山啓子さん(55)の7名が茂原市内の他、いすみ市や長生村、一宮町から集う。「『枝の会』の名前の由来は、写真家の枝川一巳(かずみ)先生(76)のお名前から付けています。会の設立から4年ほどですが、元々は茂原市のフォトプラザShoyo(しょうよう)さんで行われていた写真教室がきっかけなんです」と話す梅田さん。梅田さんは昆虫や野鳥の作品を好み、美しい風景やリアルな昆虫の姿を撮るために地面に這いつくばることも多いとか。枝川さんもそれら作品を『プロ並み』と評価するほど。
 枝川さんは長く出版社に勤務した後、『ユニックフォトサービス』を設立し独立。出版物やコマーシャルの撮影、アマチュア向けの写真教室も主宰。会員の作品を丁寧に講評し、各人に適したアドバイスをする枝川さんの指導はとても好評だとか。「私は都内在住ですが、千葉県には多くの里山や海があり、少し足を伸ばせば都内にも行けるという素敵な環境です。写真家でも撮影の為に遠出する人は多いですが、ぜひ身近にある被写体に目を向けてもらいたいです」と語る枝川さん。

 写真経験や年齢などが異なる中、メンバーが選ぶ被写体も様々だ。最も長い経験を持つのは森さんで、なんと写真歴は50年以上。親と暮らせない子ども達のいる施設で働いていた20代の頃、子ども達の表情を撮りたくてカメラを持った。50代に入ってカメラ教室に通い、写真のコンテストで入選したのをきっかけに、泡の写真を多く撮るように。独特の感性を持ち、ペットボトルやたばこの煙、泡などを写した一風変わった作品が並ぶ。「これはサランラップについた水滴に蛍光灯の光を差しこませながら、お皿の半分を入れたんです」と説明する作品は、一見、星空を映したかのようにも見える不思議な世界だ。
 同会で事務局を担当している星野さんは、「撮影対象は分かりやすいものばかりですが、被写体の中にある『優しさ』を少しでも表現できたらいいな」と話す。身近にありそうで、しかしどこか懐かしさを感じさせる田園風景は、心を癒してくれそうな暖かさ。古川さんの写真歴は7年位だが、地元一宮の町を隈なく歩き、日々素敵な写真を撮影している。常盤さんと畠山さんは2回目の展示会参加となる。「私は2匹の愛犬がいて、多くの写真を撮っています。インスタグラムに載せて多くのフォロワ―にただ見てもらうことも楽しいですが、先生の指導で作品としての愛犬を意識するようになりました」と畠山さん。常盤さんの写した山並みや街中の空に浮かぶ雲の写真も、まるで絵ハガキのよう。「他の人と視点が異なるので、みんな常盤さんの写真が楽しみなんです」と、会員も声を揃える。
 写真を始めて5年目の長谷部さんは、風景を撮影することが多い。枯れたススキから雀たちが飛び立つ瞬間を抑えたものや、荒れた海であがる波しぶきを写した一枚からは季節や天気を感じられるようだ。そして、「これからはお花の写真を極めたいと思っているので、春が待ち遠しいです」と話した。

●人の目に触れる大切さ

 3月13日(水)から31日(日)まで、一宮町にあるアートサロン『茶房 けい』にて同会は写真展を開催する。各個人5点ずつ出品し、テーマは『身近にある被写体を撮ろう』。春夏秋冬、日常のすぐ側にあるからこそ親しみの湧く作品たち。「写真展は年に1回、今回で3回目です。仲間内で批評し合うだけではなく、より多くの人の目に触れることが大切です。作品を撮る気合いも入りますし、誰かの意見をもらうことで次への張り合いに繋がります」と、枝川さん。「ISO感度って、どうやって調整するのがいいんですか?いつも、よく分からなくて感覚でいじっているんです」、「タイトルをつけるのが難しいんです」など、写真展開催直前のサークル内では、メンバーから色んな質問が飛んでいた。

 同会では、月1回の定例会のほか、春と秋にウオーキングしながらの屋外撮影実習を行っており、一緒に学べるメンバーを募集中。年齢や写真の経験は問わず。写真展、および入会方法など詳細は問合せを。
問合せ:星野さん
TEL.0475・22・2650
 写真展は13日から31日のうち、18日(月)、19日(火)、25日(月)、26日(火)は定休。開催時間は午前10時から午後6時まで。アートサロン『茶房 けい』 長生郡一宮町一宮1098の2

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