~下高根と川廻し~

田植え前の水田と養老川が白く光り、その中を列車がゆっくりと走って行きます。市原市の穀倉地帯の一つ、二日市場(写真上部)を高坂から眺めた夕暮れの風景です。
実はこの二日市場は、明治の初期まで「下高根」という今は存在しない地名の一部だったのです。
昔の養老川は至る所で蛇行して流れていました。この付近では、馬立方面から流れてきた養老川は、土宇橋(白い橋)から写真左に曲がってから大きく左回りに曲流し、ちょうど二日市場をΩ形で囲むように高坂の下(写真右水門)に流れていました。このΩ形の川の流れを近道の新しい川で繋げ、残されたΩ形の旧河道を水田にしました。これが市原市によく見られる川廻しという新田開発の方法です。
その結果、従来は川の上流から見て左岸だった下高根の一部が右岸に変わり、左岸の上高根、中高根と完全に分断されてしまったのです。やがて明治の町村合併で下高根は消滅し、二日市場、高坂、安須と呼ばれるようになりました。
土手の遊歩道を歩くと、今でも曲流跡が水路として残っているのが分かり、先人の苦労が偲ばれます。
(市原市写真連盟 南市原写真クラブ 髙橋裕造)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市は市制施行60周年を記念し、『エンジン01(ゼロワン)in市原』を2024年1月26日(金)~28日(日)に開催する。先月8月25日…
  2.  マザー牧場(富津市)では、ひと足早く秋先取りの絶景が登場。まきばエリア 『花の大斜面・東』にて、 2年目となる『コキア』が9月上旬より紅葉…
  3.  心ない行動や言葉が、人を追い詰め事件になるケースも多い昨今。この本『慈雨』の筆者・大木太枝(たえ)さんも、20数年前、愛する家族が他人の中…
  4.  9月30日(土)・10月1日(日)の2日間、上総更級公園や上総大路などで、『上総いちはら国府祭り』が4年ぶりに開催される(主催:上総いちは…
  5.  絵本作家の五味太郎さんが書いた本に『じょうぶな頭とかしこい体になるために』という本があります。「何をしたいか自分でもよくわからないんだ」と…
  6.  今回から前後編で、世界に名を轟かせた黒澤明監督に関するお話です。黒澤明:1910年(明治43年)3月23日生~1998年(平成10年)9月…
  7.  牛久石名坂1号墳跡は、市原市のほぼ中央に位置し、国道が縦横に走る養老川中域の標高37メートルの河岸段丘上にあります。周囲には大小の古墳が9…
  8.  8月21日から23日の3日間、野田市にある江崎グリコ株式会社の工場見学施設『グリコピアCHIBA』にて、小学生とその家族を対象としたワーク…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  9月30日(土)・10月1日(日)の2日間、上総更級公園や上総大路などで、『上総いちはら国府祭り』が4年ぶりに開催される(主催:上総いちは…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る