月に1度のお楽しみ市場 うしくにぎわいマーケット【市原市】

 ハーブの苗を買ったら、育て方やハーブの活用法まで教えてもらえたり、石に好きな絵を思いのままに描いたり……お得な買い物や、楽しい体験、あったかい交流ができると評判の『うしくにぎわいマーケット』を訪ねた。

美味しい!可愛い!

 とても大きなカステラに目を奪われた。三河屋による切り売りだ。グラム単位の販売で、目の前でカットして見せてくれる。ブースの横には同店による射的コーナーもあって楽しそう。オーガニッククッキーの店では、商品の美味しさやヘルシーさを丁寧に説明してもらった。美味しそうなタピオカや無農薬野菜、お洒落な押し花キャンドルや手芸品などが並ぶお店があったり、ブース内で絵画の個展が開かれていたり、竹細工も凄い。どこから廻ろうかワクワクさせられる中、小さな白いテントが気になった。アクセサリーを作るのが好きな6歳の女の子が、自分の作品のお店を出していた(保護者が別のブースで参加)。お店の小ささといい、幼い店主の笑顔といい、看板の文字通り『かわいいお店やさん』だ。
 うしくにぎわいマーケットの会場は、小湊鉄道の上総牛久駅前、深山文具店駐車場。毎月第2日曜日に開催されている。毎回、地元を中心に他市からも合わせ約20店舗が参加するが、商品内容が被らないように実行委員会が調整しているため、飲食物、手工芸品やアート作品、雑貨、ゲーム、ワークショップなどバランスがよくバラエティに富み、幅広い年代層が楽しめるイベントになっている。
 月替わりで新しい品々が登場する一方、定番の人気商品もある。その一つは吾妻堂のパンに、東屋精肉店のコロッケをはさんだコロッケバーガー。和洋菓子店と精肉店、商店街のお店どうしがコラボレーションしてできた名物だ。コロッケと春木屋の海苔巻きのコラボ商品も人気がある。他にも様々なブースが並び、人が繋がることの魅力が、あたたかく感じられる市場として賑わっている。

地域愛から生まれた市場

 主催者の大鐘実さんは、牛久で4年前から『そらたねハーブ農園』を運営し、夏の時期、花が少ない小湊鉄道沿線にラベンダーを植えて、牛久を、やがては市原市をラベンダーの香る街にしたいと夢を描き、プロジェクトを進めている。マーケットを始めたきっかけは「2016年の暮れのことです。牛久の商店街や町並みの活性化のために、何かイベントができないかなと思って。牛久在住の手作り品の作家さんや飲食業の方、幼馴染みにも声をかけたら、10店舗ぐらい集まってくれたんです」と、自身も出店。ハーブや植物の鉢を並べ、来店者の要望によって育て方や利用方法、料理のレシピなどを丁寧に教えている。
 情報を寄せてくれた山内あゆみさんは、牛久で石材業を営む『山内石材』の若女将。ハンドメイドに魅せられ石に絵を描くことを始めた。マーケットには『石にお絵かき』できる『ArtStone歩』として出店する一方、1000枚近くのチラシをポスティングするなど実行委員としても尽力。「個人では大変だから、8名で団結しました。皆でがんばっています」とのこと。「月に一度のお楽しみです。友達連れて遊びにきて交流の場所にしてほしい、牛久の街がにぎわってほしいです。大鐘さんが始めてくれて本当に良かった。初めて石に絵を描いて喜んでくれる人が多いです。これからも毎月開催したいです」と言葉を続ける。
 小学校3年生の男の子が『ArtStone歩』に来店した。取材は12月の回。マーケットをクリスマスムードで盛り上げようと実行委員が準備したサンタクロースの帽子を被って参加したその子は、石に絵を描くことに夢中になった。必要最小限の説明にとどめ、子どもが描きたいように描くことを尊重し、傍らに付き添って見守る山内さん。男の子は「初めて石に絵を描きました。少しだけ難しかったけど、いろいろな色を使えて楽しかったです。家に飾ります」と、できあがった作品を手に嬉しそうに感想を聞かせてくれた。
 夜の部では、市原市地域おこし協力隊として活躍してきた髙橋洋介さんによる『#牛久にカフェをつくりたいんだ』が企画した映画上映も行われた。「牛久にテイクアウトのコーヒースタンドを作りたいんです。コーヒー片手に商店街を巡って、商店街の美味しいものと一緒に味わってほしい」と髙橋さん。その夢も会場の目の前の上総牛久駅で3月20日に実現した。
 大鐘さんは「雨対策として、空き店舗を利用した屋内店舗も検討しながら、街全体に広めていけたら…」とマーケットの今後を具体的に描いている。のんびり自由な雰囲気で癒やされるからと、木更津や佐倉からの出店もあるそうだ。牛久の街を愛する人たちの思いが行き交う、うしくにぎわいマーケット。来客用の駐車場、購入商品を味わえるスペースも無料で利用できる。
問合せ: そらたねハーブ農園・大鐘さん
TEL.090・3579・5145
※状況によって開催延期・中止の場合もあります。お出かけ前にご確認ください。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  今やサーファーの聖地となった長生郡一宮町には、上総国一ノ宮の『玉前神社』(たまさきじんじゃ)が長い歴史と共に鎮座する。ご祭神は神武天皇の…
  2. ◆一席 若者の人生曲げる闇バイト 大網白里市 渡辺光恵 ・世渡りは適度に自説曲げ伸ばす 東金市 伴里美 …
  3. 【写真】スパリゾートハワイアンズ・ウォーターパーク ●千葉県立美術館開館50周年記念特別展「浅井忠、あちこちに行く~むすばれる人、つながる時…
  4. 【写真】五井小の歴史をたどるスライドショーの冒頭、紹介する子どもたち  昨年と今年は、創立150周年を迎える小学校が多数ある。1872年の…
  5.  冬の使者と呼ばれるハクチョウ。シベリアなどから北海道を経由し、冬鳥として日本へ広く渡って来る。近年、地球温暖化の影響で、繁殖期と越冬期が暖…
  6. 【写真】坂下忠弘  来春3月2日(日)、市原市市民会館・小ホールで開催される『いちはら春の祭典コンサート2025』。市原市…
  7. 【写真】千葉県立中央博物館・御巫さん  11月24日(日)まで、千葉県立中央博物館で開催されている『二口善雄 植物画展』。…
  8. 【写真】川口千里(左)、エリック・ミヤシロ  日本を代表するトランペット奏者、エリック・ミヤシロを迎え、いま最も注目を集め…
  9. 【写真】うたと語り「今、この町でこの歌を」  毎年、夏に開催される『市原平和フェスティバル』。平和への祈りとメッセージが込…
  10.  今回は「映画音楽」特集の第1回。良い映画では必ず、音楽・主題歌が感動を与えてくれます。テレビCMでも使われる名曲もあり、何処かで聞いたこと…

ピックアップ記事

  1.  今やサーファーの聖地となった長生郡一宮町には、上総国一ノ宮の『玉前神社』(たまさきじんじゃ)が長い歴史と共に鎮座する。ご祭神は神武天皇の…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る