チバニアンを支える地元の力  田淵わかば会【市原市】

 2020年1月17日、市原市田淵地区の地磁気逆転地層『千葉セクション』にちなみ、約77万4千年~12万9千年前の地質時代が、正式に『チバニアン(千葉時代)』と命名されることが決定した。これは茨城大学岡田誠教授を代表とするチバニアン申請チームと市原市の多大なる努力の賜物であり、また、地元の田淵わかば会もチバニアンを大きく支える柱となっている。2019年12月にオープンしたチバニアンビジターセンターは、市の委託で田淵わかば会が管理を請け負い、有料の『チバニアンガイド』の運営も始まって、見学に訪れる人をサポートしている。

地元が一丸となって

 田淵わかば会は、田淵地区の婦人会の後身として、2006年に結成された。当初は、異なる世代の交流を目指して活動し、後に男性もメンバーに加わった。田淵の町会でチバニアンの勉強会をしていたこともあり、2016年にはメンバーの発案で、県道脇から養老川まで下りる道をチェーンソー片手に整備し始めた。この遊歩道は、その後2018年10月に田淵の地磁気逆転地層が国の天然記念物に指定された際に、その一部に組み入れられ、今後更に整備が進められる予定だ。
 2017年11月13日、田淵の地層が国際学会で、チバニアン命名の第1歩となる1次審査を通過すると、年末にかけて1万8千人もの人が現地を訪れた。しかし、見学した人々からは「崖を見るだけでは、よくわからない」との声が少なからず寄せられた。その時、田淵わかば会代表石井あゆみさんの中学時代の恩師の「ガイドをやってみないか?」という一言から、チバニアンガイドが誕生することとなった。市のふるさと文化課や市原市観光協会とも連携して、田淵わかば会が主宰するガイド養成講座では、古地磁気学や、花粉化石や生痕化石(生物の生活痕跡の化石)などにまつわる古環境学の講義、さらには観光ガイド学やチバニアン研究の歴史、田淵の歴史についての講座などがある。すでに、1期生として17人、2期生として8人が学んだ。「茨城大の岡田先生をはじめ、千葉大や県立中央博物館などの第一線の先生方が、二つ返事で講義を引き受けてくださいました」と、石井さんは振り返る。

77万年前の海底へ

 ガイドツアーは、ビジターセンターを出て養老川沿いの地磁気逆転地層までの往復で、説明も含めて少なくとも1時間かかる。歩く道すがら、庚申塚や昭和初期に土地の人が炭焼き用に掘った『ムジナ穴』も見ることができる。細い坂道を下っていくと、養老川につきあたる。その川床は約77万年前の海底で、貝類化石や生痕化石の宝庫だ。巻貝や二枚貝、生物が這った跡が次々と目に留まり、それだけで時間を忘れてしまうほどだ。川上に少し行くと、地磁気逆転地層が目に飛び込む。研究用にサンプルを掘り出した穴と、地層ごとに色分けした杭が縦に並んでいる。これが世界に誇る『千葉セクション』だ。地球で起こった最後の地磁気逆転の証拠がはっきりと残されているとして選ばれた地層は、多くの奇跡の上に成り立っている。地質学的には新しい約77万年前の地層が地表面に現れたメカニズムや、地磁気逆転の年代を特定するカギとなった、古期御嶽山の火山灰が降り積もった白尾層の話などをきくと、地球の歴史へ更なる好奇心がかきたてられる。
「ガイドをつけない方も、ビジターセンターで説明展示を見てから地層を見に行くことをお勧めします。センターにはスタッフが常駐していますので、詳しい説明をきくこともできます」と、石井さん。見学時の注意として、「川床の観察をするために、長靴が最適です。降雨後は川が増水して見学ができないことがあります」と話す。当日の川の情報は、インスタグラムとフェイスブックで発信されている。ビジターセンターの開館時間は9~16時で、休館日は木曜。ガイドツアーは年末年始などを除き、無休となっている。

ガイド若干名募集

 現在、ガイドの登録数は26名で、2019年は121件の依頼に対応した。チバニアン命名の正式決定を受け、チバニアンガイドの3期生を若干名募集している。6月25日㈭に、加茂公民館でガイダンスを行い、その後全9回の講座を行う予定。費用は無料。「『学習意欲』と『奉仕の精神』をお持ちで、月に2~3回現地でガイドできる方を」とのことだ。

 

○ガイドツアー
・料金:1~15名1500円 16~30名3000円
・申込方法:市原市または市原観光協会ホームページにて申込書をダウンロードし(ダウンロードできない方には郵送も可)、希望日の10日前までにFAXにて要予約
問合せ: チバニアンビジターセンター
TEL.080・7025・0316
※ビジターセンターの開館日、ガイドツアーの受付、ガイド養成講座の日程などは、新型コロナウィルス感染防止のため、変更されることがあります。

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