畑作業を始めて以来、野菜にかける何十倍もの時間を雑草との戦いに費やしてきたような気がします。刈っても刈っても瞬く間に伸びてくる雑草は、成長の速いもので1日約3センチ、1週間で20センチも伸びます。自然農法は、なるべく雑草と作物とを共存させ、より自然に近い状態で作物を成長させる農法ですが、現実には雑草の成長スピードに全く追いつけず、せっかく蒔いた種や植え付けた苗たちが、雑草という海原の中に埋没してしまう事も珍しくはありません。
 ある時、今まで真剣に雑草と向き合った事が無かった事に気がつきました。自然の中には必要のないものなどありません。では雑草とはそもそも何の意義があるのでしょうか?雑草と呼ばれるものは原生林の深い森の中では存在しないそうです。人間の身近にあって、人の役には立たない事から雑草と呼ばれているのです。中には人間を利用し、人が土に手を加える事によって広がっていく種類もあるそうです。本来、雑草は外来種のような例外もありますが、そのほとんどは古来からその土地に根付いてその風土や土壌に適するように進化を遂げて来た植物たちです。野菜のような原産地が他の国々の、しかも温室で種から育てられ販売されているものとでは、強さに雲泥の差があるのは当然です。
 自然農法では雑草と共に野菜を育てる事によって土の中に色々な菌が混ざり合い、連作障害が起きにくくなるというメリットがあります。雑草が地面を覆う事によって地表が剥き出しになる事を防ぎ、土の温度や湿度をなるべく一定に保つ役割も補っています。雑草を敵対視せずに上手くコントロールする事が自然農法の鉄則なのでしょうが、今の自分のレベルでは毎年愚痴をこぼしながら、汗だくで草刈りをしているのが精一杯です。それでも夏の畑でバジルとトマトが収穫できたので、ピザを手作りしてみました。新鮮野菜たっぷりで、なかなかよい出来となりました。

長谷川良二。長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

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