ふるさとビジター館 自然探訪 ~夜空に鳴くサギ ゴイサギ~

 サギの仲間のゴイサギ。目が赤く、頭部から背中にかけて灰青色、羽は灰色、腹部は白、足が黄色のずんぐりした可愛いサギである。幼鳥は全体が茶褐色で羽に斑点があり、ホシゴイとも呼ばれる。名前の由来は平家物語で、「捕まるのも覚悟で醍醐天皇の勅命に従い、五位の官位を授かった」ということらしい。頭部に冠羽があることも関係しているようである。基本的に夜行性で、昼間は暗い水辺の樹林帯で休み、夜になると湖沼や川、水田に採餌にでかける。夜空でクァー、クワーと鳴く声は、ゴイサギである。
 年々、サギ類は減少しているが、その中でもゴイサギは大きく数を減らしている。水田の乾田化や農薬による水生生物の減少のほか、サギの仲間が繁殖時に形成する数十、数百羽のコロニーが影響しているとも言われる。住宅地近くでコロニーが形成されると、鳴き声と糞の異臭がトラブルになり駆除されることがある。1980年には館山で、行政の許可を得て約900羽弱が銃で駆除され、その8割がゴイサギだった。2004年には、成東町で許可なしに重機でコロニーを破壊、約200羽が駆除された。生物の存続の多くは人間の手に委ねられている。SDGsが叫ばれている昨今、人と生き物の共生・共存をみんなで考えていければと思う。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る