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老若男女が昭和から令和まで引き継ぐ『剣道』~錬心舘市原道場~【市原市】
- 2024/3/28
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市原市姉崎小学校を拠点に活動している剣道『錬心舘市原道場』。設立は1987年と長い歴史を持ち、小中学生を中心にこれまで数多くの卒業生を育ててきた。昨年11月には公益財団法人全日本剣道連盟から少年剣道教育奨励賞を受賞。地域の少年少女への健全育成に長年尽力してきた功績が認められた。現在は、水土日と週3日の練習を主に、会員は30名以上(大人7名、中学生14名、小学生13名)で切磋琢磨を続けている。設立者であり現在舘長の中村德市さんは、「36年間、道場の運営に携わってきました。多くの子供たちが鍛錬し、市原市でも長年優勝という軌跡を残しています。剣道での綺麗な足さばきや打った後の姿勢を保つことが、勝敗の決め手には必須だと思います。ただ、私が大切にしているのは決して試合の勝敗ではなく、子どもたちがみんなに尊敬される人間になるということです。人間形成となる人づくりの基本を学んでもらいたい」と力を込めた。『礼に始まり、礼に終わる』という言葉に代表される剣道。練習前に道場に入ってくる子どもたちは、大きな声で次々と挨拶をする。背筋を正し、キビキビと動く姿は決して年齢に関係ない。
黙々と練習を
取材日の2月上旬、体育館の中は冷え込んでいた。だが、そんな寒ささえ微塵も感じさせない溌溂とした動き。各々が着替えて体育館の中央に整列した時には、全体の空気が集中力さえまとっているようだった。挨拶をして、ランニングや素振りの練習を進めていくと、さらに活気が上がる。指導者の河野貴俊さんは、自身も同館で剣道を習っていた。「今は、地域の子供数自体が減少していて、クラスも一学年に1クラス、2クラスというのも珍しくありません。たくさんスポーツもある中で、剣道を選んでもらうことは大変だけれど、魅力を発信していけたら」と、笑顔で話す。
同館では、父子で通う人の姿もある。小学校6年生の海上惠祐くん⑿は、指導者を務める父親と共に練習に励んでいる。「小1の時に、父に誘われて始めました。父とは、剣道の話をよくします。時々、姉と3人で近くの公民館を借りて練習をすることもあるので楽しいです」と、笑顔で告げる。一方、同館では主将という立場もあり、「みんなをまとめるのは大変な時もあります。でも、小さい子もいるので、あまり上から目線にならないよう気をつけています。自分に厳しく、人にやさしくという精神がここで学べるので、とても勉強になります」と、大人びた回答を見せた。さらに、海上くんは小学校5年生の時に全国大会へ出場した経験も。「3回戦敗退でしたが、試合後は試合の動画や、先生たちに聞いたりすることで改善点を見つけています。稽古中は厳しいけれど、先生たちは普段とても優しい」と話し、下級生を大きな声で呼んだ。
駆け寄って可愛らしい笑顔を振りまくのは、幼稚園年長の岡田侑くん、小学校1年生の佐川楓翔くん、小学校4年生の前坪柊吾くんの3人だ。3人は、「剣道が好き!」と、声を揃えた。その上で、「練習中は体育館の床で裸足だから、足が痛い時もあるよ」、「切り返しや踏み込みの練習って、ちょっと辛いよね」、「時間が余った時に、みんなでボールで遊べるのが、とっても楽しいんだ」と様々な感想。自分の思っていることを話せるこの環境こそ、和気あいあいとした雰囲気を感じさせる。河野さんは、同館の特徴を「絆の強さ。大人も子どもも本気で剣道をやっていること。だからこそ、年齢関わらず色んな世代の人と仲良くなれる」と分析した。
地域に根付く活動を
中学校2年生の三吉明敬くん⒁は、「年齢関係なく知り合いや友達が増えたことが嬉しいです。剣道が好きです。決まった時の爽快感が気持ちいいし、礼儀も生きていると実感できています。ずっと続けていきたいと思っています」と話し、中1の武藤悠雅くんも、「小4くらいまでは真剣じゃなかった。でも、夏の合宿の試合で最下位になって、下の学年の子たちが成長してきて負けたくないって思った。自分の中で意識改革をして、それを先生たちも気づいて、強くなったと認めてくれたのは嬉しかった」と、続けた。練習中は、道場のあちこちで指導者が各々に声をかける姿が目立った。子どもたち一人一人も、竹刀の振り下ろす一本に力を込めているのが伝わる。自主的に相手に打ち込んでいる姿が、精神的な強さや視野の広さを生み出しているのだろう。
また、同館を支えている力の一つにOB会がある。3人の子どもが同館にて所属した経験を
持つ池田美和子さんは、「他人の子をきちんと叱ってくれる環境は大切だし、子どもたちが大人になっても戻って来られる場所だと思います。剣道は個人競技だけど団体戦。気持ちを共有して頑張るおススメのスポーツ。子供たちは剣道をすることでメリハリもつきました」と明るく語った。同館は、4月にOB会主催の『剣道体験会』を開催予定。体験会では一緒に声出しをしながら竹刀を振るなど、楽しく剣道を学ぶ機会を設ける。参加は無料。随時、練習への見学も募集中。詳細は問合せを。
問合せ:河野さん
メール:renshinkanichiharadoujou@gmail.com