曽祖父と戦争 全国作文コンクール読売新聞社賞受賞

 いすみ市立岬中学校3年生の北根るるかさんが、読売新聞社主催の『第64回全国小・中学校作文コンクール』中学校の部で栄えある読売新聞社賞を受賞した。1万8千556点の中から選ばれた北根さんのタイトルは『絆~曽祖父を探して~』。太平洋戦争中、海水兵長として戦い命を落とした曽祖父の気持ちを想像し、溢れ出る自分の気持ちを18枚の原稿用紙に素直に綴った大作だ。
 小学6年生の時に『岬町史』を使って調べものをしていたら「ひいおじいちゃんが載っているよ」と母親が教えてくれた。ある頁に、曽祖父の氏名と階級、硫黄島で昭和20年3月に戦没したことが記された一行を見つけた。70年前の戦争という出来事はピンとこなかったが、曽祖父について知りたいとの思いが芽生え、まずは戦争について調べ始めた。硫黄島は東京都小笠原諸島の南端近くに位置する島。1945年2月、アメリカの進軍を少しでも遅らせるために戦争が繰り広げられたこと、硫黄島の住民が故郷を追われたことなどを知った。戦場に向かうときの曽祖父の気持ちを考えずにはいられなくなった。「出征する時、どんな気持ちだったの?」、「残していく家族のことが心配だったよ」まるで曽祖父が生きているかのように北根さんと曽祖父との対話が描かれている。
「とても感性豊かな生徒。会ったこともないひいおじいちゃんのことを想像すると涙が止まらなかったようです」と国語科担当の末吉登紀子教諭。「先生や選んで下さった審査員の方々に感謝したい」と謙虚に話す北根さんは、かなりの努力家でもある。作文を書くにあたり、戦争についてのノンフィクションなど5、6冊の分厚い本や新聞の切り抜きを熟読した。写真集『硫黄島』には、参考にした証にピンクの付箋がたくさんついているが、どうしても向き合うことのできない生々しい写真はクリップで閉じられたままだ。
 遺族に悲しみを残し続けている戦争への憎しみは、北根さんに平和という言葉の意味を考えさせた。「『戦争』と『平和』は紙一重の言葉に思える」自国の平和のためにと他国と戦うことの矛盾を指摘する一行。文化や考え方の異なる相手の立場や気持ちを理解しようと努力すれば、解決の糸口が見つかるかもしれない。現在を生きる私たちが、平和のために、この考え方を未来に引き継いでいかなければ。そんな使命感が心の中に生まれた。
 北根さんには小児科の医師になりたいとの夢がある。アレルギーを患っていた幼少の頃、病気を治す医者という職業の偉大さを感じた。曽祖父のことを考えていくうちに、命を救うことのできる医者になることが平和を築く力になることだと気がつき、夢を実現したいとの思いがさらに強くなった。曽祖父に自分の夢を語り、文を締めくくっている。
 受賞を一番喜んでくれたのは祖父。「よくやったね。亡くなったお父さんも喜んでいるよ」と声をかけてくれた。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  菜の花ACはスポーツの普及、振興、強化ならびに健康づくり活動の支援事業を目的に昨年10月設立。千葉県を中心として活動している。同時に陸上競…
  2.  水辺でよく見かけるアオサギ。日本で見られるサギの仲間の中で最も大型で、長い首とスラリとした足が特徴だ。体長95センチ前後、翼を広げると1メ…
  3. 「梅ケ瀬」それは広く知られた紅葉の景勝地、そして市原には珍しい、つららを始めとする氷の渓谷でもある。養老渓谷駅の先を右に回って進み大福山の下…
  4.  森の中での生活に薪ストーブは欠かす事は出来ません。木々に囲まれた生活をする理由の1つには薪で暖を取りたい事も含まれていました。木は二酸化炭…
  5.  2015年に運行を開始したトロッコ列車「房総里山トロッコ」は、土休日を中心に五井~上総牛久~養老渓谷間を走り、開放感あふれる車窓から、春は…
  6.  国の天然記念物で、国際地質科学連合IUGSが国際境界模式地(GSSP)として承認した地磁気逆転地層・チバニアン。市は多くの人が来訪し交流で…
  7.  来月2月11日(祝)千葉県文化会館で、千葉県在住のふたりの俳優による朗読劇が行われる。出演はプロダクション・タンク所属、見上裕昭さんと、文…
  8. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  菜の花ACはスポーツの普及、振興、強化ならびに健康づくり活動の支援事業を目的に昨年10月設立。千葉県を中心として活動している。同時に陸上競…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る