日本の心を次世代につなぐ 『伝統文化こども茶道教室』【茂原市】

「背筋を伸ばして」と声が掛かり、「おはようございます」と全員で手をつき丁寧に挨拶する。床の間に飾られた掛け軸や花、花入れを愛で、季節や先人たちの想いに考えをめぐらせる。『伝統文化こども茶道教室』の稽古はこうして始まる。茂原市茶道協会が文化庁の支援を受け開催しているこの教室は、今年度で17年目だ。茶道協会の講師が準備に時間をかけ、目の行き届いた指導が行われている。令和元年度は保育園年中から中学1年生の15名が参加し、抹茶のいただき方、点(た)て方、礼儀作法などを茶の湯に学んだ。
稽古は6月22日から毎月第2、第4土曜日の全13回の予定だったが、台風の影響で3回分が中止となり、会場も茂原市中央公民館から本納公民館に移った。「茶道という長い歴史を持つ伝統文化を次世代に伝えるため、『こども茶道教室』を続けています。子どもたちに一番学んでほしいことは、『相手の気持ちになること』『物を大切にすること』『礼儀作法を身につけること』の3つです」と、茂原市茶道協会会長の小池喜美子さんは話す。
 1月11日(土)、保護者を招いた発表会が行われた。稽古日の不足という不安はあったものの、子どもたちは緊張した面持ちながら立派なお点前を披露し、保護者たちは目を細めてその様子を見守った。講師からは「練習を熱心によく頑張りました。上級生が下級生の面倒をよくみてくれました」と、普段の稽古の様子が語られた。この日の菓子は、梅ごろも。子どもたちの晴れ舞台を寿ぐかのようなきれいなピンク色だった。保護者への呈茶もあり、祖父母や父母たちは、運ばれたお茶をじっくりと味わっていた。
祖母の勧めで教室に通い始めたという茂原市立鶴枝小学校1年の石橋優依さんは、着物姿で参加した。自宅では祖母とふくささばきなどの所作の練習もしたという。小学1年から5年間続けて通っている茂原市立東郷小学校5年の加藤愛花(まなか)さんは、生徒を代表して謝辞を述べた。「初めはお菓子に興味があって通い始めましたが、お道具の名前を覚えたりして、教室がどんどん楽しくなりました。今年は今までで一番楽しくお稽古ができました。送り迎えもありがとうございました」と、心のこもった言葉を並べた。今年度の稽古を終えて、子どもたちには修了証書が手渡された。
講師の坂田昭代さんは、「お茶室で学んだことは特別なことではありません。日常生活にしっかりと活かし、子どもたちには日本人としての誇りをもって成長してほしいと願っています」と語った。令和2年度も、引き続き教室開催が予定されている。興味のある方は問い合わせを。
問合せ: 茂原市茶道協会 坂田さん
TEL.0475・24・3413

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