子どもの可能性を伸ばす イヤイヤ期は自立のはじまり! 『2歳のお誕生日会』インストラクター 赤松奈穂美さん【茂原市】

 島根発祥の『2歳のお誕生日会』。メモリアルワークを通じて、2歳児のイヤイヤやイタズラの本当の理由を知り、子育てを楽しもうというもので、主に西日本で活動が広がっている。千葉県では今夏、インストラクターの赤松奈穂美さんが茂原市で初めて開催し、今後も定期的に開催の予定。子育てにおける気づきの場を提供している。

保健師の経験を活かして

赤松さん(左)と参加者の親子

 赤松さんは小学生と中学生の2児の母で、茂原市在住。今年3月まで県の保健師として勤務していた。20年以上に及ぶ保健師の業務の中で、不登校など思春期に何らかの問題を抱えた親子と向き合った経験から「乳幼児期の親子の関わりの重要性」を実感。保健師の仕事は、本来なら健康で病気にならない生活を送るため、健康上のトラブル予防という側面が重視される。しかし近年の現場では、子どもの虐待、感染症などの対応に時間と労力が費やされるようになり、その中で赤松さんは、「予防が大事。もっと早い段階から関わりたい」という気持ちを強く持つようになったという。
 転機は昨年の夏。インターネットで、『2歳のお誕生日会』を提唱した青山節美さん主宰の『しあわせなおかあさん塾』に出会い、その考え方に「自分が考えてきたことの点と点がつながった」と感じた。保健師の仕事に愛着はあったものの、行政でもない、『ママ友』でもない、母親たちが気軽に相談できる存在になりたいという思いが固まっていった。

『しあわせなおかあさん塾』

 青山節美さんは島根県で学習塾を営んでいたが、学力が伸び悩んでいたり自己肯定感の低い小中学生の背景に、幼少期の親子関係の問題が潜んでいると考えた。現在、『親が変われば、子どもの未来は変わる』をテーマに掲げ、『しあわせなおかあさん塾』で、子どもの発達段階に応じた親の関わり方や声掛けの方法を提案している。
 赤松さんは、今年2月に入塾。全国の受講生と共に青山さんとオンラインでつながり、子育てを学んでいる。というのも、赤松さん自身が仕事と家事に追われ、十分に納得出来る子育てができたとは言えなかったからだ。まず自ら実践したことは、子どもへの『過指示』『過保護』『過干渉』をやめ、自分自身が変わることだった。子どもとじっくり向き合い本音で話し合うことで実際に子どもにも変化があり、家庭での会話も増えたという。「当時知らずにやり過ごした『2歳のイヤイヤ期』をやり直しています」と笑顔で語る。

2歳のお誕生日会

美汐ちゃん(左)

 9月29日、茂原市総合市民センターで第3回『2歳のお誕生日会』が開催された。対象は、1歳6カ月~3歳未満の幼児。90分のスケジュールの中で、シールを貼ったり、ハサミを使ったりと手を使う作業に熱中する。作業の終わりには、『片付け』の時間もある。その間、親に求められるのは、『ダメ・やめてなどの禁止用語を言わない、子どもを見守る・観察する』ことだ。「親が『よかれ』と思って先回りしてすることが、子どもの好奇心の芽を摘んでしまいます」と、赤松さん。「よく『魔のイヤイヤ期』と言われる2歳前後。上手くできずイヤイヤすることもありますが、実はこの時期の子どもは『できるようになりたい』と思っています。そもそも子どもは年齢に応じて『できている存在』。親はそこを見守って、子どもが『自分でできた』『自分でやれた』体験をさせてあげることが大切。この時期の子どもの体験と親の関わりが、子どものやる気、集中力、自立心、自己肯定感や成長を促し、思春期の土台につながります」と説明する。
 2歳11カ月の美汐ちゃんと参加した母親の鈴木智晶さんは、「全く手を出さないで見守るということは今までなかったので、相当意識しないと難しかったです。自分の都合を押し付けず見守る意識を持つ体験ができたことは、今後の私の財産にしたい」と話した。会では、親子でそれぞれ違う子育て事情に寄り添うように耳を傾ける赤松さん。「少しでも多くの子どもとお母さんのしあわせに貢献できるよう活動していきたい」と抱負を口にした。
第5回『2歳のお誕生日会』が、10/25(日)14時~15時半に予定されている。参加費用は3500円。11月以降開催予定もあり。詳しくは問合せを。

●2歳のお誕生日会HP
https://peraichi.com/landing_pages/view/hapiba
問合せ:赤松さん TEL.090・5548・6788
mail:nao74hi11yu426@gmail.com

 

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