
昨年10月19日、山武市の松尾IT保健福祉センターにて、山武市保健推進員協議会主催の『知ってる?パッククッキング~災害時常備食クッキング~』が開催され、9名が参加した。パッククッキングとは、食材を入れた耐熱性のポリ袋を鍋で湯煎する調理方法だ。「ポリ袋の中で調理し袋のまま食事するので、洗い物がほとんど出ません。鍋の水は何度も繰り返し使用できるという利点があります」と、推進員は説明する。
メニューは、『野菜と魚肉ソーセージのカレー』と『ココア蒸しパン』。調理はまず材料を入れたポリ袋を準備する。分量は、1つの袋に1人分。『ご飯』は袋に米を入れ、少量の水でもみ洗いし水を捨てた後、適量の水を入れ浸水させる。水の分量を増やせばおかゆ、調味料や薄切りの野菜を入れれば炊き込みご飯もできる。次は、『野菜と魚肉ソーセージのカレー』。薄切りにしたジャガイモ・ニンジン・タマネギ、カットした魚肉ソーセージと缶詰のコーン、細かく刻んだカレールーと水をポリ袋に入れ、全体をなじませるように軽くもむ。「魚肉ソーセージは常温で保存でき、火を通さずに食べられるので、常備食として便利な食材です。パッククッキングでは生肉でも調理できます」とスタッフ。ご飯とカレーの袋は、熱がよく伝わるように中の空気をしっかり抜き、口を結ぶことがポイントだという。『ココア蒸しパン』は、袋に卵・牛乳・ホットケーキミックスなどの材料を入れ、粉っぽさがなくなるまでもみこんでいく。蒸しパンは膨らむので、空気を入れて口を結ぶ。
用意したポリ袋を沸騰した湯で30分加熱すると、ご飯にカレー、蒸しパンも、1つの鍋ですべて同時に出来上がった。「ビニールでご飯が炊けるなんて!こんなにおいしくできるとは思いませんでした」「ジャガイモとニンジンにも火がしっかり通っていました。いつもと違う切り方なので、体験してよかったです」「子どもとも楽しく作れそうです」と、参加者は初めて体験する調理法を楽しんだ様子だった。
実習に加え、家庭での備えについての講義では、「災害発生から最低3日~1週間×家族の人数分の食料が必要なこと」「缶詰・レトルト・乾物などの常備品を少し多めに買い置きし、使っては補充するローリングストックのすすめ」などが話された。常備食をストックしておくことの大切さと、いざという時にその常備食を生かすための調理法を学び、参加者からは、「こんなにすばらしい調理方法がもっと広まればいいと思います」との声が上がった。