太陽が消えた黄砂の大都会
- 2013/4/19
- 市原版
太陽が消えた黄砂の大都会
俳画と文 松下佳紀
黄砂は中国大陸の砂塵が季節風により吹き上げられ、日本に飛来してきたものだ。空は黄濁し、万物に降りかかる。私は若い頃、太陽が消え、人の群れやビルがかすむ息苦しいほどの黄砂を東京で見た。その頃は一自然現象として驚くだけだった▼しかし今年は違う。中国都市部に深刻な大気汚染が発生し、それが黄砂と共に日本に流れこみ、我々をしばし不安にさらしたからだ。最近はマスクをする人が目立つが、黄砂に限らず排気ガスや風疹の菌、杉花粉まで恐いのだ▼科学技術や経済の発展に伴い自然は破壊され、環境の汚染度は増す。人類がこれ以上の物質的欲望を追い求めるならば、地球は更に砂漠化し、太陽は死に、我々は黄砂に埋葬されてしまうだろう。