『縄文土器』と『蛇』

『縄文土器』と『蛇』

 円筒に油彩で描かれた妖艶で巨大な蛇は見るものを圧倒する。10月14日(祝)まで市原市養老渓谷のギャラリー『アートハウスあそうばらの谷』で『白井忠俊展ータツハシラー』が開催されている。『タツハシラ』とは、日本の古文書に登場するイサナギとイサナミが子作りする際に回った柱を意味するという。
 今展覧会の作品は市原市在住の画家、白井忠俊さん(41)が2008年から作り続けてきたもので、円筒は『縄文土器』、『巨樹』、『循環』を表している。白井さんは考える、縄文土器の装飾は蛇を表しているのではないかと。「2006年に市内の米沢の森で蛇と出会ったんです。森へ通い続けているうちに、樹木に絡まるツタと蛇の形状が似ていることに気づきました。縄文土器も樹木も円筒です。樹木に絡まったツタから縄文土器の装飾を思いつき、当時神聖視していた蛇の姿と重ねたのではと考えるようになりました」 
 世界に原始蛇信仰は多数ある。一説によると、日本においても神社のしめ縄は蛇の交尾を表しているという。「この説は民俗学の吉野裕子さんなどが早い段階で注目していたことでもあったのです。『タツハシラ』も、樹木に絡まるツタをイメージし、さらには螺旋に絡み合って交尾する蛇の姿を想像することができます」
 そして、狩猟、採集、漁労を組み合わせ、四季に沿った食糧計画をつくっていた縄文人の食生活に着目。「毎年同じ時期に季節のモノを食べ、深く感謝する。毎年繰り返す、淡々とした循環する時間軸の生活がありました。現代の私たちは、進歩するのが正しいと考えていますが、結局人間は進歩などしないと俯瞰する視点も必要かと思います。人間は何度も同じ過ちを繰り返します。そのためにも祖先の知恵や古典に立ち返り、親しむことが重要ではないでしょうか?」と白井さん。
 また、「縄文土器の(ナワ)縄文様は(ツナ)綱文様であると読み替えると土器に施された装飾の意味は、全てが『ツナ』繋がり続け、循環し、『ワ』(和・輪)になることを表現しているのではないでしょうか。蛇は循環を象徴するいきものだと私は考えます」とも。一見、グロテスクにも見える作品には『いつもと変わらない一日』、『何を探しているのか忘れてしまった』など、意外なタイトルがつけられている。「ギャップがおもしろいでしょ。作品を鑑賞する人に色々なことを想像してもらいたいですね」と気さくに笑う白井さんは、浦安市、千葉市、佐倉市などで油彩教室の講師を務めている。

問合せ アートハウスあそうばらの谷
TEL 0436・50・8770

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