房総往来

房総往来 5
海水温の上昇
山里 吾郎

 前号で温暖化がもたらした異常気象について書いた。もう一つ、気になっていたのが海水温の上昇。漁場にどんな影響が出ているのか、ちょうどサンマの時期でもある。日本を代表する港町・銚子に出掛けてみた▼暑さ寒さも…の例え通り、ようやく県内にも涼風が吹き始めた彼岸の連休。近年、人口減や地元スーパーの撤退などマイナス情報ばかりが目立つ銚子市だが、さすがに絶好の観光シーズン、どこのスポットも多くの人出でにぎわっていた▼利根川河口沿いに第1、第2、第3と広がる銚子市場。実を言えば銚子は30~40代にかけ7年近く赴任していたなじみの地だ。休日だったため水揚げや入札を見ることはできなかったが、3市場の観光名所「ウォッセ」は人がすれ違うにも苦労するほどの人出。「捨てたものではない。本州最東端の街はまだまだ人を引き付ける魅力にあふれている」▼目当ての鮮魚を覗く。アジ、メヒカリ、ヒラメ、金目など魚種の豊富な銚子港は健在。ただ、今が盛りのサンマは数も少なく値段も高め。聞くと「まだ北海道からだよ。銚子での水揚げはいつになるか…」。海水温が高く魚群の南下が遅れていることに加え燃料費の高騰で漁場の北海道沖から銚子港までなかなか漁船が帰って来れないという▼先日、国連環境組織(IPCC)から「今世紀末には世界の平均気温が5度近く上昇、海面は最大81センチ上がる」とするデータが出されたばかり。このままでは日本沿岸の豊かな漁場も海水温の大きな変化に蹂躙されかねない、そんな危惧を抱きながら銚子を後にした。(執筆後、銚子港へのサンマ初水揚げが初めて10月にずれ込んだ、との報道があった)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】2024年4月『みんなとうたコンサート』にて 『南総ラ・ムジカ』は、オペラを愛する市民合唱団。睦沢町中央公民館で…
  2.  9月の森の中を歩いていると、遠目にも鮮やかな朱赤のキノコがありました。近づいてみると地面に白い卵のような壺、黄色いだんだら模様の柄、傘の裏…
  3. 【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん  ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』…
  4.  市原市根田にある浄土真宗本願寺派西光寺では、毎月『みんなの寺カフェ』が開催されている。副住職の吉弘一秀さんはこの活動について、「毎月様々な…
  5. 【写真】 小出市長と南雲氏の対談  市原市は、2026年からの新たな総合計画を策定するため、市民との対話をスタートしました…
  6. 【写真】撮影:影山惠子  来月9月23日から、ちはら台フォトクラブの創立10周年記念写真展が開催されます。同クラブは月1回…
  7.  動物たちを飼うには、彼らが生涯、安心して暮らせる環境が求められています。捨てられて保健所に捕獲されたり、個人の多頭飼育崩壊などで持ち込まれ…
  8.  国道297号線(大多喜街道)を牛久から大多喜方面に下って行き、米原ゴルフ倶楽部の先の右側の小高い丘の上、田圃にかかしが居ます。周りにロープ…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん  ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る