ふるさとビジター館
活き活きと生えるハマウド
冬のこの時期、養老川河口域にあるアシ原は、アシが枯れ一面ベージュ色に染まり、生き物の気配もなく寂々たる感じがします。しかし、そのような中で、光沢のある深い緑色の葉を持ち、活き活きとしてひときわ目に付くのがハマウドです。
ハマウドは、海岸や海辺などに生える大型の多年草で、高さは約1.5~2mと人の背丈ぐらいになります。この時期は既に30cm程度の高さに成長し、初夏の花期頃には一番の高さになります。茎は太く暗紫色の縦線があり、密に集まった白色の小さな花は、全体でカリフラワーのように見えます。名の由来は、「浜に生えるウド」からきていますが、山菜のウドとは全くの別種。ウドはウコギ科、ハマウドはセリ科です。
ハマウドは、千葉県レッドデータブックに掲載されている希少種などではありませんが、市原市内では、おそらく養老川河口域が唯一の生育地であると思います。範囲は、国道16号線養老大橋周辺にあるアシ原の縁辺部や石積護岸の石のすき間などに限られています。アシやセイタカアワダチソウなどの優勢により、年々、個体数が減少しているハマヒルガオやコウボウシバなどの同じ海浜植物に比べると安定した生育状況です。
その理由としては、他の植物が成長する前に既に成長し、草丈を高くしていることから、他の植物との生存競争に負けないこと、また、草丈が高いので種子の散布範囲がある程度広く、発芽条件の良い環境に散布されるチャンスが多いためであると考えます。
これから冬本番なのに日々成長しているハマウドを見ると、何だかすぐそこまで春が近づいてきているような感じがして、心が華やぎます。
ナチュラリストネット/時田 良洋